著者
堀 美保 三浦 真弘 荒尾 博美 原田 千鶴 島田 達生
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.20-28, 2009-06-05 (Released:2016-08-25)
参考文献数
21
被引用文献数
2

皮神経は静脈注射時において損傷する恐れがある. 本研究では, 顕微鏡を用いてヒト上肢の局所解剖を行い皮静脈と皮神経の関係を調べた. 本検索には解剖体 6 体 7 肢を用いた. 皮静脈は, 皮下脂肪が少ない個体では表皮から約 1 ~ 2 mm に位置しており, 皮下脂肪が多い個体では表皮から 5 ~ 10 mm の深い位置に位置していた. 内側前腕皮神経の 2 つの枝は尺側皮静脈の内側, 背面もしくは側方を近接して走行していた. 尺側皮静脈と肘正中皮静脈は, 内側前腕皮神経の側面, 背面を走行していた. 外側前腕皮神経の 2 枝は, 橈側皮静脈の両側を伴行する特徴を見出した. 1 つもしくは 2 つの枝は,内側前腕皮神経か外側前腕皮神経のどちらか一方が肘正中皮静脈に分岐していた. 皮神経は, 尺側皮静脈において多く, 肘正中皮静脈で最も少なかった. 皮静脈と皮神経の位置的関係を正確に知ることは安全な静脈注射技術を獲得するうえで重要な情報であると考える.