著者
荒川 真希 石岡 克己
出版者
ヤマザキ動物看護大学
雑誌
動物研究 = Studies in animals (ISSN:24345709)
巻号頁・発行日
no.4, pp.15-22, 2022-03-26

尿には多数の動物個体情報が含まれる。動物医療現場ではスクリーニング検査として尿検査が実施され、研究分野においても栄養学的分析として尿量や尿比重の測定や、ストレス評価測定として尿検体が採取される。ネコにおける尿量や尿比重の測定分析、微生物の混入が影響しない尿中成分の測定分析では、普段の生活環境下でストレスのかからない自然な状態での採尿が望ましく、ネコ用のトイレを活用した採尿が不可欠となる。本研究では、二段式トイレを用いて採尿した際に、異なる素材で作られたトイレ砂が尿量や尿性状にどのような影響を及ぼすかを検証した。その結果、撥水加工が砂粒全体に施された紙製のトイレ砂は尿量、化学性状、pH、比重、沈渣への影響が最も少ないことが確かめられた。このことから、家庭内におけるスクリーニング検査としての採尿および実験下における自然排尿によるネコの尿検体を採取するには、二段式トイレに撥水加工された紙製のトイレ砂を組み合わせて使用するのが最適と考えられた。