著者
山川 伊津子
出版者
ヤマザキ動物看護大学
雑誌
動物研究 = Studies in Animals (ISSN:24345709)
巻号頁・発行日
no.3, pp.37-47, 2021-03-26

1973年に「動物の保護及び管理に関する法律」として制定され、1999年の改正により名称変更した「動物の愛護及び管理に関する法律」は、日本における「人と動物の共生」思想の根幹をなすといえる。平成初期まで年間100万頭を越えていた犬と猫の殺処分数は2018年には4万頭を切り、動物愛護についての人々の意識は確実に向上したと言える。動物保護及び動物福祉に関してはヨーロッパを先進国とするが、筆者はドイツおよびオランダの動物保護施設視察ツアーに参加し、現地の状況を直接知る機会を得た。世界的に有名な大規模動物保護施設であるベルリンティアハイムを含め中規模、小規模の動物保護施設4ヶ所と世界で最も大きいといわれるペットショップの見学のほかにも、獣医科大学でドイツの動物保護についてのレクチャーを受講した。見学した施設の報告に加え、今回の視察を通して見えた日本の動物愛護とドイツの動物保護の違いとこれからの日本の人と動物の共生について検討する。
著者
荒川 真希 石岡 克己
出版者
ヤマザキ動物看護大学
雑誌
動物研究 = Studies in animals (ISSN:24345709)
巻号頁・発行日
no.4, pp.15-22, 2022-03-26

尿には多数の動物個体情報が含まれる。動物医療現場ではスクリーニング検査として尿検査が実施され、研究分野においても栄養学的分析として尿量や尿比重の測定や、ストレス評価測定として尿検体が採取される。ネコにおける尿量や尿比重の測定分析、微生物の混入が影響しない尿中成分の測定分析では、普段の生活環境下でストレスのかからない自然な状態での採尿が望ましく、ネコ用のトイレを活用した採尿が不可欠となる。本研究では、二段式トイレを用いて採尿した際に、異なる素材で作られたトイレ砂が尿量や尿性状にどのような影響を及ぼすかを検証した。その結果、撥水加工が砂粒全体に施された紙製のトイレ砂は尿量、化学性状、pH、比重、沈渣への影響が最も少ないことが確かめられた。このことから、家庭内におけるスクリーニング検査としての採尿および実験下における自然排尿によるネコの尿検体を採取するには、二段式トイレに撥水加工された紙製のトイレ砂を組み合わせて使用するのが最適と考えられた。