著者
安東 郁男 荒木 均 清水 博之
出版者
北海道農業研究センター
雑誌
北海道農業研究センター研究報告 (ISSN:13478117)
巻号頁・発行日
no.186, pp.31-46, 2007-03
被引用文献数
2

「おぼろづき」は、「空育150号」(後のあきほ)/「北海287号」の交雑後代から育成された品種であり、2003年に水稲農林398号として命名登録され、併せて2006年に種苗法に基づく品種登録がなされた。また2005年に北海道の奨励品種に採用された。「おぼろづき」の特性は、主要品種の「ほしのゆめ」と比較して以下の通りである。1. 出穂期・成熟期はほぼ同程度の中生の早に属する。2. 稈長はやや短く、穂長はやや長く、穂数は少なく、穂数型の草型である。耐倒伏性はやや強で、やや優る。3. 収量性はやや低い。千粒重は同等で、粒厚も同等である。4. 障害型耐冷性は同ランクの強である。いもち病抵抗性は、葉いもちはやや弱、穂いもちは中で、ともやや優る。5. 玄米品質は同等の中上であり、検査等級は同等かやや優る。6. 白米のアミロース含有率は5%程度低く14%程度であり、「あやひめ」より4%程度高い。含有率の年次変動はやや大きいが、「あやひめ」より小さい。7. タンパク質含有率はやや高い。8. 食味は粘り、柔らかさ、つやが優り、食味総合値は優る。「あやひめ」と比べると、粘り、柔らかさは小さい。以上の特性から、極良食味米品種として、上川(士別以南)、留萌(中南部)、空知、石狩、後志、日高、胆振および檜山各支庁管内の稲作地帯に適応する。