- 著者
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石井 仁
荒木 弘安
東郷 敬一郎
- 出版者
- 静岡大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2001
超音波断続負荷型疲労試験機を製作して様々な強度レベル材料についてのギガ(10^9)サイクル域までのS-N曲線を取得し,その結果を回転曲げ,引張-圧縮といった一般的な試験機で得られた疲労特性との差異を検討することで,この試験法が疲労強度の迅速決定に威力を発揮することを確認した.超音波を連続ではなく断続的に負荷させる理由は,超音波域といった高周波数で変形を繰返した際の内部摩擦による材料の発熱を防止するためであり,試験片の温度上昇を生じさせない負荷-休止時間の組み合わせであれば10^7回以上の高サイクル域の疲労特性には影響が無いことを確認し,負荷と停止時間をそれぞれ30ms,70msとすることで以下の様々な試験を実施した.焼入れ後に高温焼戻しを施したS35CおよびSNCM439につきギガサイクルまでのP-S-N線図を求めた.応力レベルを10種類とし,1応力あたり15本,計150本の試験片を用いて得られた結果は,日本材料学会あるいは金属材料技術研究所から出版されている10^7サイクルまでの疲労強度データ集の結果と極めて良い一致が得られた.また,耐久限が存在せず10^7サイクル以上でも疲労強度が低下する高強度材の一例として,マルエージング鋼についての10^9サイクルまでのS-N曲線を求めた.10^7サイクルまでは表面を破壊の起点としたが,それ以上の繰返し数では内部の介在物を起点とするものに移行する.材料製造工程の改善を通して介在物の寸法を微細化すると長寿命域の疲労強度改善が得られるなど,通常の試験機では数年が必要である実験結果が短時間に求まり,材料開発へ応用すると極めて有効な手法になることが確認された.また,軸受け鋼SUJ2や浸炭処理を施した肌焼き鋼SCr220,SNCM420についても,また,切欠き試験片でも適用可能であることを確認し,超音波断続負荷法が超高サイクル域の疲労強度迅決定法として極めて有用であることを明らかにした.