著者
松岡 大祐 荒木 文明
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.35-63, 2011 (Released:2011-11-30)
参考文献数
182
被引用文献数
2

シミュレーションデータや観測データを画像に変換する科学的可視化は,データに含まれる科学的な特徴や意味を直感的に理解するための効率的な手法の一つである.本論文では,可視化パイプラインにおけるプロセスの効率化,時系列データ可視化,遠隔可視化,および最先端の環境を用いた大規模データの可視化研究について調査を行い,報告する.大規模シミュレーションによって生成される大量のデータの可視化処理には膨大な時間がかかり,一台の計算機で行うのは容易ではない.そのようなデータを効率的に可視化するための典型的な手法として,可視化パイプライン中のプロセスの並列化およびデータ構造の最適化が用いられている.また,時系列データの可視化においては,データI/O処理がステップ毎に生じる.そのため,時系列データ可視化のための効率的なデータI/O手法として,プリフェッチングや並列I/O,およびパイプライン並列処理が開発されている.特に,パイプライン並列処理は,I/Oのボトルネックを除去し,高フレームレイトを実現するための手法として広く用いられている.ネットワーク環境を用いた遠隔可視化は,遠隔環境にある使用可能な計算資源を利用するための手法である.とりわけ,地理的に分散した複数のデータを取り扱うために,遠隔可視化の一形態である分散可視化が提案されている.同じく遠隔可視化の一手法である協調的可視化は,様々なレベルの可視化プロセスにおいて複数の解析者が参加できるものである.最後に,最先端の環境を用いた可視化について述べる.より大規模なデータをより高速に可視化するためには,スーパーコンピュータおよびマルチGPUシステムの利用は有効な手法である.また,大規模シミュレーションの結果をより直感的に理解するための,高度なインタラクティブ性を持つバーチャルリアリティシステムを用いた可視化についても報告する.