著者
岡部 正人 江上 寛 並川 和男 高城 克義 由布 雅夫 光野 利英 川村 亮機 荒木 昌典 堀江 二郎 大塚 宗臣
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.933-938, 1981

骨盤内臓器全摘, 回腸導管造設術を6例に行つた. 原疾患は直腸癌が3例で, S状結腸癌, 直腸癌局所再発, 子宮癌再発後のIrradiation necrosisが各1例であつた. 男性4例, 女性2例で, 年令は39~75才であつた. 骨盤底会陰部を含む臓器全摘を5例に, 骨盤底会陰部保存臓器全摘を1例に行つた. 尿路変更は回腸導管で行つた. 術後早期の重篤な合併症はなかつたが, 会陰瘻孔, 開腹創感染, 骨盤底感染, 直腸吻合部のminor leakageが各1例ずつあつた. 合併症に対してはそれぞれ瘻孔切除, 感染創開放, 中心静脈栄養を行い良好な結果をえた. 手術死亡はなく, 生存は現在3例で, 1例は術後4年6ヵ月, 他の2例は術後4ヵ月経過している.<br>死亡3例の死因は1例が癌性胸膜炎による呼吸不全で, 2例が肝転移であり, それぞれ術後6ヵ月, 7ヵ月, 1年6ヵ月で死亡した.