著者
荻原 典子 水戸 優子 金 壽子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.83-91, 2020 (Released:2020-12-20)
参考文献数
41

本研究は, 日本の看護における「全人的ケア」とは何か, その概念を明らかにすることを目的とし, Rodgers (2000) による概念分析法を用いて30文献を対象に分析した. 結果, 属性として【全体を捉えて関わる】【存在の脅かしをやわらげる・癒す】【寄り添う】【人間らしさやその人らしさを尊重する】の4つのカテゴリー, 先行要件として患者・家族, 看護師・医療者, 社会的の3つの様相において, 脅かされ, 求め, 未充足, 質, 変化や多様化に関する5つのカテゴリーが抽出された. 帰結として解放, 回復, 家族の成長, 医療者の成長に関する4つのカテゴリーが抽出された. これらから, 『「全人的ケア」は, その人が存在を脅かされ, 人間らしさやその人らしさの尊重を求めたときに, その人の全体を捉えて関わることを基盤とし, その人の存在の脅かしをやわらげる・癒す, 寄り添うことを通じて, 人間らしさやその人らしさを尊重することである. その結果, 人間らしさやその人らしさが回復し, さらには関係する者の成長をもたらすものである』と定義された.