著者
荻本 晋作 鶴田 敏幸
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.1109-1115, 2016 (Released:2017-04-26)
参考文献数
16

健常成人男性の肩関節周囲筋群の筋電図解析を行い,臨床応用について検討した.棘上筋,棘下筋横走・斜走線維,小円筋にはエコー下にワイヤー電極,上腕二頭筋と三角筋の前・中・後部線維には表面電極を用い,3つの挙上の経路(前方,肩甲骨面,側方),4つの回旋角度(thumb down,palm down,thumb up,palm up),2つの挙上角度(45,90度),2つの負荷(自重,3 kg 重錘)を組み合わせた48通りの筋活動を計測した. 自重負荷では,側方挙上90度での最大内旋位で棘上筋は最大の筋活動となり棘下筋は最小の筋活動を示した.棘下筋は前方挙上90度での最大外旋位で高い筋活動を示すのに対し棘上筋の筋活動は最小となった.同一肢位では上腕骨は外旋するほど三角筋にかかる負担は少ない傾向であった.徒手検査では棘上筋は側方挙上内旋位,棘下筋は前方挙上外旋位でのテストが有用である可能性がある.