- 著者
-
荻野 朝朗
- 出版者
- 日本ウイルス学会
- 雑誌
- ウイルス (ISSN:00426857)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.2, pp.165-178, 2014-12-25 (Released:2015-10-06)
- 参考文献数
- 110
- 被引用文献数
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モノネガウイルス目に属する非分節マイナス鎖RNAウイルスはウイルス粒子内にRNA依存性RNAポリメラーゼLタンパク質をもつ.Lタンパク質は,ウイルスRNAの合成と修飾 (mRNAキャッピング,キャップメチル化,および ポリアデニル化) を触媒する多機能酵素である.近年,筆者らは非分節マイナス鎖RNAウイルスのプロトタイプであるウシ水疱性口内炎ウイルス (vesicular stomatitis virus, VSV) をモデルウイルスとして用いることにより,L タンパク質が宿主真核細胞とは全く異なる機構でmRNAキャッピング反応を触媒すること,キャッピング反応が完全長mRNAを合成するための正確なストップ?スタート転写反応とウイルスの細胞内増殖に必須であることを明らかにした.本稿では,VSV mRNAキャッピング機構の解明につながった歴史的な研究と現在の最新の研究について解説したい.