著者
菅原 盛幸 大木 与志雄
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.400-405, 1982-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
13

ハタネズミにおける給与飼料の違いによる消化管内発酵産物および体内代謝産物への影響,さらに絶食による体内代謝産物への影響について調べた.給与した飼料は(A) ヘイキューブ単独,(B)ヘイキューブおよび草食動物用ペレット,(C) 草食動物用ペレット単独,(D) じゃがいも単独である.絶食は24時間と48時間について検討した.(1) 各飼料給与群の食道のう内容物から,(A) 4.30,(B)4.65,(C) 4.06,(D) 3.31mM/dlの揮発性低級脂肪酸(VFA)が検出され,腺胃•幽門胃内容物では著しく減少していた.VFAの構成は酢酸が主体で,酪酸,プロピオン酸は僅かであった.一方,乳酸はいずれの群においても比較的多く存在し,特に線維質が少なく澱粉質の多い(D) 給与群において高かった.盲腸内VFA濃度は,10mM/dlと各群とも高く,その比率は,(A)~(C)群において,ほぼ一定であり,酢酸:プロピオン酸:酪酸=10:1:2であった.(2) 血糖値は(A)63.8,(B)81.0,(C)91.3,(D)77.4mg/dlであった.肝グリコーゲンは肝1g当り10~20mgであった.血漿遊離脂肪酸(FFA)は0.609~0.732mEq/lであった.(3) 絶食により,血中ケトン体および尿中ケトン体が著しく増加し,24時間絶食で70%,48時間絶食で91%がケトン尿症を呈し,典型的な飢餓性のケトーシズを示した.この時,血糖値は47.2mg/dlとほぼ半減し,肝グリコーゲンは完全に消失していた.血漿FFAは絶食24時間で1.377mEq/lと倍増し,48時間後には1.967mEq/lとさらに増加した.