著者
藤本 直也 菅原 遼介 高木 正則
雑誌
情報教育シンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.74-81, 2016-08-15

大規模CGM(consumer generated media)コミュニティでは,ユーザがコンテンツを作成し続ける必要がある.特にオンラインコミュニティでは,面識のない膨大な数のユーザを管理し,コミュニティを維持・活性化することは容易ではなく,面識のある知り合いベースのコミュニティとは異なる運営が必要となる.本研究では,持続可能なCGMコミュニティの構築を目的とし,流入,突破,継続,転換の4つの概念ループからなるCGMコミュニティ育成モデルを提案する.また,プログラミングに関する問題解決支援サービスteratailに本モデルを適用した.その結果,本モデルがCGMコミュニティの育成管理に有効であることが示唆された.同時に,定性的な側面であるコミュニティで生成されるコンテンツの品質管理についても考察し,コンテンツの品質を上げるためには,コンテンツ投稿者にコンテンツに対するフィードバックを与える手法が有効であることを示した.しかし,コンテンツ品質の向上施策は短期的かつ定量的なコミュニティの育成とは反比例することがわかった.以上より,持続可能な大規模オンライコミュニティの運用には,コミュニティを支えるプラットフォームの機能を充実化させる施策と,コミュニティの運用ルールを充実化させる施策の2 つの観点が必要不可欠であることを明らかにした.