著者
菊地 悦子 谷亀 光則 堺 秀人
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.415-421, 2001-05-30
被引用文献数
3

2型糖尿病患者が病気によって感じる負担感について, 重大な合併症がなく, 診断前とほぼ同程度の勤労をしているか, 勤労可能な糖尿病患者234名のアンケート調査の結果を検討した. 負担感に関与している因子として, 基本属性, 治療法, HbA1c値, 合併症, 症状, 日常のつき合い, 食事療法, 運動療法, 薬物療法, 社会的因子, 性格傾向など85因子をとりあげた. 負担感への関与が明らかであったのは, 「糖尿病と共に生きていくことや合併症を起こす不安」「食事療法」「糖尿病のために他人から受ける嫌な思い」「HbA<SUB>1</SUB>c値が高いこと」「インスリンを他人に隠すこと」「手足のしびれ」であった. 今後の人生や合併症への不安は, HbA<SUB>1</SUB>c値や血糖値の自己評価などと関係がみられた. 職業上の役職がない人, 女性, 年齢が低い人が, 糖尿病のために他人から嫌な思いを受けたと感じやすく, 社会の中で療養を行っていく上での負担感が強いことが明らかになった.