著者
菱田 陽子
出版者
北陸学院短期大学
雑誌
北陸学院短期大学紀要 (ISSN:02882795)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.203-218, 2006-12-01

男女共同参画社会に関する白山市民の意識調査について、家庭に関する事柄を中心に、性、年代、家族構成による回答傾向の比較を試みた。いわゆる家事については妻の役割であるとの認識が多く、いくつかの性差、白山麓地域の特徴も認められた。また、男女とも年齢が上がるにつれて妻の役割であるとする傾向が強い。3世代のように家族構成が複雑になるほど、家族で分担すべきと考え、妻の役割とする傾向が低下する。育って欲しい子どもの姿については、男女とも高齢者は女の子に対して家庭を大切にすることを挙げ、家族形態が複雑になるほど、協調性や他人から好かれることを重視する。「男は仕事、女は家庭」なる考え方に男性高齢者が肯定し、「女性の能力開発のための研修や社会参加」には、男女とも半数以上が「家事や育児に影響しない範囲」でとしている。少子化の原因については、男性の女性の生き方への理解が窺える一方で、若い世代は子育ての経済的負担、自分の余暇の充実が原因だとする等、年齢差が認められる。多くの高齢者は、女性の就業が少子化の原因であるとしている。女性が働き続ける条件として、女性は働き続けるための環境造りを、男性は子育て環境充実を考え、対照的である。これらの分析結果をふまえ、男女共同参画社会実現の課題について考察した。