著者
安田 英土 董 光哲

本稿は中国大学の産学連携活動について分析したものである。特に,中国大学と外資系企業との産学連携を中国企業との対比から検討を行った。加えて,中国の大学支援政策である「211 プログラム」と「985 プログラム」に指定された大学の産学連携活動を別途分析した。結果を見ると,中国大学と中国系企業との産学連携は活発に行われている様子が窺えた。一方,外資系企業との産学連携活動は,一部大学を除いて低調であった。だが,中国国内市場向け製品の開発/改良に重点が置かれる中国企業との連携と異なり,日米欧系企業との産学連携活動は,世界市場や企業側本国市場を睨んだ製品の開発や改良を目的としている様子が窺えた。他方,大学側と企業側の産学連携に対する期待の面で,相違が存在している可能性が示唆され,ニーズのミスマッチにより産学連携推進が影響を受けることも考えられる。