著者
蓑輪 雅好
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.101-112, 2003-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
9

立位豚の向きが時々刻々と変化するときの矩形面に対する豚体の形態係数を解明するために, 豚がその場で向きを1回転したときの矩形面に対する形態係数の平均値を全方位形態係数と呼称し, 27kg豚, 65kg豚および88kg豚のサーフェスモデル (体表面が多数の三角形パッチで覆われた3次元多面体グラフィックスモデル) を用いて, 壁面に位置する矩形面 (単に壁面と呼称する), 天井面に位置する矩形面 (天井面), 豚の蹄部底面が接触している矩形面 (床面) および蹄部底面よりも下方に位置する矩形面 (下方床面) に対する豚体の全方位形態係数を数値計算で求めた。形態係数総和則と誤差伝播法則から, 豚体の全方位形態係数計算値の誤差率は1%以下であり, 計算値は有効数字が少なくとも3桁である精度を有していると推定できた。豚体中心 (豚体の全長, 最大幅, 最大高さそれぞれの中点) から1m以上離れた壁面, 0.5m以上離れた天井面および1m以上離れた下方床面に対する27kg豚, 65kg豚, 88kg豚の全方位形態係数は, これら3種類の豚における平均値 (全方位形態係数平均値) で代表できることが明らかになった。また, 豚体中心から1.5m以上離れた壁面と0.5m以上離れた天井面に対する豚体の全方位形態係数平均値は, 矩形面に対する微小球の形態係数を表す式で算定できることを示した。さらに, 豚体中心から1m以上離れ, 豚体中心から床面までに位置する壁面に対する27kg豚, 65kg豚, 88kg豚の全方位形態係数にも, 矩形面に対する微小球の形態係数算定式は適用可能であった。微小球の形態係数算定式が適用できない壁面, 床面および下方床面に対する豚体の全方位形態係数や全方位形態係数平均値については, 豚体中心から矩形面までの距離と矩形面の大きさを変数とした算定図を提示した。
著者
蓑輪 雅好
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.137-149, 1998-12-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
10

周囲物体に対する豚体の形態係数を豚体形状に基づいて解明するために, 肥育中期に相当する体重が65kgである豚の立位におけるサーフィスモデル (8838個の三角形パッチで構成した3次元多面体グラフィックスモデル) を用い, 矩形面に対する65kg豚の形態係数を数値計算で求めた。形態係数計算値の百分率誤差は約1%以下であることが, 形態係数総和則と誤差伝播法則から推定できた。豚体の側面, 正面, 背面および天井面に位置する矩形面 (側面壁, 正面壁, 背面壁, 天井面) に対する65kg豚の形態係数算定図を, 豚体中心 (豚体の全長, 最大幅, 最大高さそれぞれの中点) から矩形面までの距離と矩形面の大きさをパラメータとして提示した。同様に, 豚の蹄部底面が接触している矩形面 (床面) と蹄部底面よりも下方に位置する矩形面 (ケージ式豚舎における豚舎床面) に対する形態係数算定図を提示した。同一場所に位置する同一大の矩形面に対する27kg豚の形態係数と65kg豚の形態係数との大小関係および差異の大きさは, 矩形面が位置する壁面, 天井面, 床面の種類や豚体中心から矩形面までの距離で異なった。また, 両者の差異は最大で約10%であった。