著者
貝塚 隆則 秋濱 友也
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.161-166, 1993-12-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
10

キノコの発生および成長におよぼす太陽光の影響を知るため, 疑似太陽光のもとでマンネンタケとヒラタケによる栽培実験を行った。疑似太陽光の効果としてマンネンタケでは鉄, カルシウム, 亜鉛などのミネラル類の含有率の上昇が認められ, また, ヒラタケでは収穫までの栽培期間が若干短縮することが確認できた。
著者
村田 敏 松岡 孝尚 宮内 樹代史
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-6, 1992-07-30 (Released:2011-09-05)

この研究は, 複数個採取した場合の重量和を一定にして包装する装置の確率論的考察とシミュレーションである。対象を既に実用化されているピーマンの包装装置にとり, まず, 採取されたピーマンの重量分布を詳しく測定し, それと確率計算に基づいて, 目的重量和Wが包装条件150 (g)≦W<152 (g) を満足する装置側の条件を明かにした。次に一つの選抜システムを提案し, それに基づいて実行シミュレーションを行い, 選抜が円滑に行われることを証明するとともに, 選抜精度の評価を行った。
著者
吉崎 繁 瀧川 具弘
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.4-9, 1978-10-20 (Released:2011-09-05)
参考文献数
10

In order to study the explosibility for agricultural dusts the authors made the explosion tests and measured the explosion pressures. The apparatus used was a so called Hartmann type explosion bomb. The agricultural dusts tested ranged from 200 mesh to 400 in size, 1.5% to 18 in moisture content (d. b.) and 71% to 99 in volatile matter content.The experimental results obtained were as follows:(1) All of the agricultural dusts tested showed rather strong explosibility.(2) Rice husk dust exploded with the whole range of moisture content tested.(3) Both maximum explosion pressure and maximum pressure rise increased with decrease of dust size. The above tendency was remarkable for the latter.(4) Maximum pressure rise decreased with increase of moisture content. On the other hand, moisture content did not influence on maximum explosion pressure.(5) The relation of volatile matter content to dust explosibility was not obviously observed, but the dust in higher volatile matter content showed a tendency to have higher explosive severity.
著者
陳 青雲 山口 智治 畔柳 武司
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.113-118, 2000-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
5
被引用文献数
2

中国の在来型省エネルギー温室である日光温室は, 益々発展しつつある中国施設園芸における中核的施設になっている。日光温室は, 透光面は南面のみで, 北・東・西壁は特殊な蓄熱・保温構造を持ち, 最低気温が-20℃の中国北方地域の冬季においても, 無加温で野菜が栽培可能な園芸施設である。本稿では, 主として日光温室の構造, 環境特性, 発展状況及び今後の研究方向について述べた。
著者
前川 孝昭 張 燕生 張 振亜
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.69-75, 1997-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
15

嫌気性培養試験管を用いて酢酸分解系馴養メタン菌の回分培養を行った。初期菌体接種量の少ない場合において, 培養初期のメタン生成量は従来の微量金属塩濃度 (0.1mL/L) の時に最大であり, それより高い濃度ではメタン菌への阻害が見られた。しかしながら回分発酵の時間経過につれ, 最大のメタン生成量に対応する培地の微量金属塩濃度は高い濃度へ変化し, 16日後のメタン生成量は10mL/Lの微量金属塩液濃度の場合に最大になり, 従来の培地微量金属塩濃度の場合の2.2倍のメタン生成量が得られた。それと比較して接種量の多い場合には, 発酵の初期段階においてもメタン生成量は高い培地微量金属塩濃度 (15mL/L) の時に最大であった。時間の経過につれ, 15mL/L以上の高い微量金属塩濃度の場合のメタン生成量は, 15mL/L微量金属塩濃度の時の最大メタン生成量との差が小さくなる傾向が見られた。回分培養開始後2日目から7日目までの間のメタン生成速度を見た場合に, 微量金属塩濃度15mL/Lの時のメタン生成速度は従来の培地微量金属塩濃度の場合の3.7倍になった。
著者
中野 和弘 前川 孝昭 山沢 新吾
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.29-34, 1982

日本到着直後のとうもろこしの水分と穀温を統計的に検討した結果, 次の結論を得た。<br>(1) 穀温と水分の間には正相関があった。<br>(2) 米国からのとうもろこしの水分は非常に安定しており12.0~14.4% (w.b.) で, タイからの場合は12.4~21.6% (w.b.) とばらつきが大きかった。<br>(3) 穀温の上昇は高水分によって引起こされた可能性があることがわかった。<br>(4) 日本到着直後のとうもろこしの状態は, 穀温9.0~50.0℃, 水分11.0~21.6% (w.b.) の範囲にあった。
著者
福重 直輝 阿部 佳之 朴 宗洙 伊藤 信雄
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.93-102, 2004-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
10

吸引通気式発酵処理の排気中のNH3は圧送通気式に比べ高濃度となり, 新たな脱臭方法を検討する必要がある。モミガラにリン酸を1:0.5, 1:1.0, 1:1.5, 1:2.0, 1:2.5の比率で添加した材料を回収資材 (吸着材) に使用し, 高濃度アンモニアの脱臭および回収実験を行った。直径約15cmの円形吸着槽に回収資材を50cm (堆積高さ) 充填し, 4000ppmのアンモニアガスを通気した場合, 吸着時間は約28時間で, 回収資材1kgのアンモニア吸着量は159gN (1:2.0) であった。これは添着炭の約2.6倍, ゼオライトの約23倍の吸着量に相当した。吸着操作後の回収資材はpHから推察すると, リン酸二水素アンモニウムとリン酸水素二アンモニウムがモミガラに付着したものと考えられる。吸着操作後, 回収資材からのアンモニアの再揮散は放置期間中気温30℃を超えた日数に関係が見られたことから, アンモニアの再揮散と外気温との関係について, さらなる検討が必要であった。
著者
張 燕生 張 振亜 杉浦 則夫 前川 孝昭
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.195-204, 2002-03-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
21

高速度メタン発酵を実現するために, メタン菌細胞の栄養元素の要求量を知ることが重要である。本研究では正確なメタン菌細胞中の微量金属元素の測定法を確立するために細胞の洗浄方法を検討した。遊離陽イオン並びに残留培地をメタン細菌の表面から取り除くために, 4種の, すなわち蒸留水, 生理塩水, 燐酸塩緩衝液及びEDTA混合液 (EDTAと燐酸塩との混合液) を洗浄液としてメタン細菌ペレットの洗浄を行った。洗浄したメタン菌細胞を湿式分解法で前処理し, ICP-MS (Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer) を用いてメタン細菌の微量金属イオン含有量を測定し, 比較した。供試洗浄剤を用いた洗浄結果, 細胞内イオン含有量計測値の変動率の最も大きい洗浄液は水であり, その変動率の最も少ないものは燐酸緩衝液であった。更に原子間力顕微鏡を用いて洗浄した細胞を検鏡した結果, 細胞の凹みと細胞破壊の現象が見られた。この細胞破壊の程度は水を洗浄液とした場合, 最も大きかった。また, 細胞洗浄における誤差は主に細胞の破壊に起因することが明らかになった。次に細胞破壊の現象を防ぐために, 細菌培養液にグルタルアルデヒド溶液を加え, 軽く固定化してから細胞サンプルを遠心分離・洗浄する方法を試みた。この場合, 水を用いた3回洗浄においても細胞の破壊がほとんど発生しなかった。この細胞洗浄方法は細胞の破壊に由来する誤差を有効に防ぐ事ができ, 細胞の微量金属元素分析の再現性を改善することが期待される方法であると考えられる。
著者
佐々木 健 木谷 俊秀 江本 美昭 浜岡 尊
出版者
農業施設学会
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.38-46, 1987

畜産廃棄物の再資源化と地域利用を目的として, 豚ふん尿のメタン発酵特性調査とバイオガスエンジン駆動試験を行った。35℃の単槽回分式メタン発酵で最大ガス発生速度, 950m<i>l</i>/<i>l</i>/日 (370mg/g-vs) を得, CH<sub>4</sub>濃度は58~76% (他はCO<sub>2</sub>) であった。連続発酵 (35℃) で有機物負荷が2.8~7.1g-vs/<i>l</i>/日の時, ガス発生 (840~1,150m<i>l</i>/<i>l</i>/日), CH<sub>4</sub>濃度 (64~72%) およびCOD<sub>cr</sub>除去率 (61~63%) がそれぞれ最大であった。CH<sub>4</sub>60%とCH<sub>4</sub>80%の等価混合ガスを燃料とし, 空燃比を調整して4サイクル点火式エンジン (550cc) を駆動し最高出力15PSを得た。500頭規模の豚舎を想定すると約13時間のバイオガス駆動が可能と推算された。
著者
佐藤 義和 長谷川 三喜
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.167-174, 1991-03-30 (Released:2011-09-05)
参考文献数
11

係留式ストールの居住性を検討するために乳用牛の起立・横臥動作に関する運動力学的分析を行った。動作中にスタンチョンに与えられる引張力の最大値は上下支点型チェーンタイの場合の2~4倍程度であることを明らかにし, スタンチョンの拘束力の大きさを定量化した。両動作に共通して, 前肢に関しては前膝による接地時間が長く, 1前膝で体重の40%程度の荷重を支えていることを明らかにした。後肢に関しては蹄尖付近の小面積による接地相があり, 接地圧は数十kgf/cm2になるものと推定した。横臥動作時には前肢は後方に最もすべりやすいため, ストールの前半部分に関しては勾配を小さく抑えるべきであると考察した。
著者
チィーピモンチャイ ウィモンラット 院多本 華夫 石川 豊 前川 孝昭
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.87-94, 2000-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
25

緑豆・大豆タンパク質を原料とした生分解性フィルムの特性を検討した。抽出した緑豆タンパクのタンパク質含有量は81.93%であった。緑豆および大豆タンパク質5%にグリセロールを添加し, テフロンプレート上に塗布し・乾燥することによりフィルムを作成した。グリセロール添加の増加により両製品とも引張強度は低下したが, 伸び率および水蒸気の透過性は増大した。緑豆タンパク質は生分解性フィルムの原料として使用できる。
著者
カタージェフ ティホミール 渡辺 兼五 東城 清秀 内ヶ崎 万蔵 藍 房和 ホワン バーニィ
出版者
農業施設学会
雑誌
農業施設
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.47-56, 1996

環境を保全しながら農地の生産性を改善する手法として, 樹木を利用するアグロフォレストリ (AGROFORESTRY) が注目されている。これは, 土壌浸食や汚染を受けることが多い農地の利用形態として, 作物だけでなく短期間に樹木を栽培するもので, 経済的な観点から積極的な普及が期待されている。樹木を農地に移植することは重労働であり, 樹木苗の全自動移植機の開発が急務となっている。<br>本研究の目的は, 野菜移植のために開発されたエアプルーニング育苗方法を樹木の育苗に応用し, 生長に及ぼす影響および派生する問題点について検討することである。<br>実験ではセル深さの異なる育苗トレイ (深さ40, 70, 140mm) を用いて, それぞれについてエアプルーニング, 部分エアプルーニング, エアプルーニングなしの条件で育苗を行った。ファイトトロンにおいて夜間と昼間の温度を17℃, 28℃そして湿度を95%, 65%に設定し, ユーカリと赤マツを育苗した。ユーカリは播種後20日で出芽して, 出芽率は85%であったが, 赤マツは播種後24日で出芽して, 出芽率95%であった。出芽に対してはエアプルーニング育苗の影響はセル深さ40mm以外の実験区ではみられなかった。これは40mmより深いセルでは根が底に届く前に発芽が行われたためと考えられた。<br>ユーカリと赤マツの苗はエアプルーニングを施した全実験区で健苗となった。100mmの草丈に達したのはユーカリが4週間目で, 赤マツが24週間目であった。樹木の生長について統計処理を行った結果, 出芽で差が生じた深さ40mmトレイの実験区も, 移植時までに他の実験区とほぼ同様の生長となることが示された。
著者
紙谷 喜則 イッサ.ザカリア アブドゥルスディ 比恵島 裕美 守田 和夫 八木 史郎
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.141-146, 2008-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
10

強酸性電解水は, 次亜塩素酸塩を含むため, 強い殺菌効果があることが知られている。その殺菌効果により, 手指消毒液生成装置として医療機器に承認され, また, 食品添加物として日本の厚生労働省によって認可された。現在, 強い農薬を使用している農業分野では, 代替農薬として使用されることが期待されている。農業の分野では, 主に, 地下水を使用して電解水を生成される。地下水には様々なイオン種が存在するために, 強酸性電解水を生成する上でpHバッファー効果を有する。従って, 被電解水の水質が強酸性電解水の殺菌効果へ及ぼす影響を検討した。試験に使用される被電解水は, 日本の地下水の水質調査結果からアルカリ度に注目し, NaHCO3を希釈調整して用いた。本報告書では, 炭酸イオンの濃度と強酸性電解水のpHの相関を確認した。電気分解に用いられる原水のアルカリ度 (炭酸イオンに濃度) が0mg/L (純水) の時に, 食品添加物に規制された中心値 (pH2.5) になる電解電流値は8Aであった。この電解電流値で生成すると, 炭酸イオン濃度が68mg/Lの時, 食品添加物に規制された上限 (pH2.7) となることが確認された。また, 日本で使用される地下水の最大アルカリ度は150mg/L以下であり, その時のpHは3.3まで上昇した。pH3.3とpH2.7 (規格値上限) にて同じ有効塩素濃度に調整し, 大腸菌を用いて殺菌速度を比較したところ, pH3.3の方が早い傾向が見られた。強酸性電解水の生成に炭酸イオンを含んだ, 地下水を使用しpH承認範囲 (pH2.5±0.2) から外れ, pHが3.3になったとしても, 大腸菌を用いて確認した結果, 殺菌速度に大きな影響は無かった。
著者
石川 智佳代 小野 昌孝 荒木 徹也 相良 泰行
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.123-130, 2002-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
7

ドライフラワの需要拡大のためには, 耐久消費財としてのドライフラワの作成とそれを応用した製品の開発が望まれる。このようなドライフラワを作成するためには, 生花と同様の形態と色彩の長期保持が望まれている。本研究では, ドライフラワ作成時における変形と変色を抑制し, さらに乾燥時間の短縮に最適な乾燥法を選択することを目的とし, リトルマーベル (バラ科バラ属) を供試材料とし, 従来から採用されてきた空気乾燥法に加えて, シリカゲル細粒充填層内に埋没させた材料を電熱ヒータで加熱して乾燥する方法, 凍結乾燥法および減圧マイクロ波乾燥法などを選び, その適用性を比較検討した。試料を固定した乾燥法では萎縮が少なく, その形態が保持された。また, 乾燥前後の花弁の色差は含水率の低下に伴い生じる萎縮により増大するが, 乾燥過程での萎縮の防止に有効な乾燥法を選択することにより抑制可能であることが分かった。色差発現の主要因はハンタ表色系におけるL*, b*値の減少によるものであることが確認された。ドライフラワの作成には形態, 色彩, 乾燥時間の面でヒータを併用したシリカゲル埋没乾燥法が最適であることが分かった。
著者
水口 聡 渡辺 久 川崎 哲郎
出版者
農業施設学会
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.165-172, 2004

愛媛県のカーネーション農家における収穫・出荷の現状を把握し, 問題点を明確にするとともに,「蕾開花促進 (BAA)」と命名した蕾の開花速度の加速による開花促進処理法の出荷調節への適応性を検討した。愛媛県内の篤農家の現状を調査したところ, 母の日直前には低温貯蔵が行われ, 出荷本数は通常の2.8倍になっていた。年間出荷本数の14%にあたる多くの花が母の日用出荷に間に合わず蕾状態で圃場に残留していた。1℃および5℃における1週間の低温貯蔵は花弁のピンク色の鮮やかさを低下させ, 葉の色調を黄化させた。1℃で1週間貯蔵すると, 花弁に障害が発生した。5℃で1週間貯蔵すると, 満開時の花径が小さくなり, 花持ちが短くなった。BAAにより蕾段階から出荷適期に到るまでの日数が短縮できた。BAAによる花弁色調の変化はほとんどなく, 葉の緑色をより鮮やかにした。ステージ1から蕾開花促進させた場合, 花径が小さくなった。BAAに花持ち延長効果は認められなかった。これらのことより, 処理条件の改良は必要であるが, カーネーションの出荷調節法として, BAAはきわめて有効な技術となりうることが示唆された。
著者
青野 忠勝 仁科 弘重 渡部 憲幸
出版者
農業施設学会
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.231-239, 1994

高床式開放鶏舎における除糞機の開発に取組み, ローラ型ガイドを有する, 無人走行が可能な自走式除糞機を製作した。試作除糞機は管理機がベースであり, 走行速度の低下を目的として, 機関の動力取り出し軸 (PTO軸) に装着するプーリの改良も試みた。<br>そして, タイヤの種類・機関回転数・シフトレバーポジションの違いによるけん引力を測定し, 既存プーリの場合と比較検討した。さらに, 試作除糞機によって除糞作業を行い, 走行速度との関係も含めて, 除糞効率を求めた。<br>その結果, 試作除糞機は, 除糞作業に十分なけん引力を示し, また, 除糞効率も70~100%と高い値が得られたことから, 実用上十分な性能を有すると判断された。
著者
佐竹 隆顕 古谷 立美 太田 芳彦
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.173-184, 1999

共同選果包装施設や予冷・保冷施設をはじめとする農業施設の建設予定敷地内の最適配置設計問題に対して, ヒューリスティックアルゴリズムの一つであるシミュレーテッド・アニーリング (SA) を援用した合理化施工支援のための基本プログラムをC言語により新規に作成するとともに, 実用プログラム開発の知見を得るための準備的な配置設計シミュレーションを行った。<br>配置設計上の制約条件とした施設と敷地内トラックヤードないしは道路との重なり程度, 施設の出入口と同トラックヤードの距離, および各施設の図心間の積算距離などを総合的に評価するコスト関数に基づいてシミュレーションの解の評価を行った。<br>また, 同じく組合せ最適化問題の解法の一つである山登り法 (HC) による最適解と比較検討を行った結果, シミュレーテッド・アニーリングによるコスト評価値は平均で約100低減するとともに解のばらつきも抑えられており, 局所的最適解に捕らわれにくいシミュレーテッド・アニーリングの長所が認められた。
著者
カタージェフ ティホミール 渡辺 兼五 東城 清秀 内ヶ崎 万蔵 藍 房和 ホゥアング バーニ
出版者
農業施設学会
雑誌
農業施設
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.183-189, 1995

空気整根育苗を目的にした底面開放型トレイを供試して苗ブロックを下方へ吸引移植する場合の抜き取りエネルギについて検討した。ピートモスと土を混合した苗ブロックの充填密度および含水率をそれぞれ2水準設定して試験を行った。第1試験は育苗トレイに培土を充填した直後に植生なしで行い, 第2試験は播種後40日間育苗したキャベツ苗ブロックについて行った。テーパのないトレイセルの抜き取りエネルギはテーパのあるトレイセルより12倍のエネルギを消費した。
著者
蒋 偉忠 北村 豊 石束 宣明 リャン トン
出版者
農業施設学会
雑誌
農業施設
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.85-92, 2001

本研究では, 無希釈あるいはわずかに希釈した有機廃棄物のドライメタン発酵技術を確立するため, 回転ドラム発酵システム (RDFS) を開発し, その特性を明らかにした。RDFSの基質としてわずかに希釈した牛糞を用い, RDFSによりリアクタ内容物の混合状態が改善されるようにした。ドライメタン発酵システムの評価は有機酸とメタンの生成状況によって行い, pHやVA, メタン含有量等のパラメータを検討した。さらに, 汚泥-牛糞比(1:1, 1:2, 1:3, 1:5) や攪拌時間 (30, 60, 120, 240分/日) 等の影響を明らかにすることによってRDFS運転条件を決定した。
著者
蓑輪 雅好
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.101-112, 2003-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
9

立位豚の向きが時々刻々と変化するときの矩形面に対する豚体の形態係数を解明するために, 豚がその場で向きを1回転したときの矩形面に対する形態係数の平均値を全方位形態係数と呼称し, 27kg豚, 65kg豚および88kg豚のサーフェスモデル (体表面が多数の三角形パッチで覆われた3次元多面体グラフィックスモデル) を用いて, 壁面に位置する矩形面 (単に壁面と呼称する), 天井面に位置する矩形面 (天井面), 豚の蹄部底面が接触している矩形面 (床面) および蹄部底面よりも下方に位置する矩形面 (下方床面) に対する豚体の全方位形態係数を数値計算で求めた。形態係数総和則と誤差伝播法則から, 豚体の全方位形態係数計算値の誤差率は1%以下であり, 計算値は有効数字が少なくとも3桁である精度を有していると推定できた。豚体中心 (豚体の全長, 最大幅, 最大高さそれぞれの中点) から1m以上離れた壁面, 0.5m以上離れた天井面および1m以上離れた下方床面に対する27kg豚, 65kg豚, 88kg豚の全方位形態係数は, これら3種類の豚における平均値 (全方位形態係数平均値) で代表できることが明らかになった。また, 豚体中心から1.5m以上離れた壁面と0.5m以上離れた天井面に対する豚体の全方位形態係数平均値は, 矩形面に対する微小球の形態係数を表す式で算定できることを示した。さらに, 豚体中心から1m以上離れ, 豚体中心から床面までに位置する壁面に対する27kg豚, 65kg豚, 88kg豚の全方位形態係数にも, 矩形面に対する微小球の形態係数算定式は適用可能であった。微小球の形態係数算定式が適用できない壁面, 床面および下方床面に対する豚体の全方位形態係数や全方位形態係数平均値については, 豚体中心から矩形面までの距離と矩形面の大きさを変数とした算定図を提示した。