- 著者
-
中澤 達夫
蔵之内 真一
- 出版者
- 長野工業高等専門学校
- 雑誌
- 一般研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1993
本研究は、低コストで高効率の太陽電池実現が期待される、銅-インジウム-セレン(GIS)系薄膜太陽電池の各要素のうち、バッファ層用のCd(Zn)Sおよび吸収体材料であるCIS(S)薄膜を溶液法で堆積するための基礎を検討したものである。得られた新たな結果を以下にまとめて示す。・CBD法によりCdS薄膜の堆積では、出発原料としてよう化物,あるいは,硫酸塩を用いると、塩化物や酢酸塩を用いた場合に比べ、よりムラが少なく表面状態の良好な膜が得られた。・溶液法によるZnS膜の堆積は困難であった。CdZnS膜については、溶液中のCdとZnの混合比率の制御により、膜中のCd/Zn比を制御することができた。・電気めっき法によるCIS薄膜の堆積では、Cu-In-Seの三元素を混合した溶液を用いるone-step堆積法により、ほぼ良好なCIS薄膜が得られることがわかった。・CIS膜の禁制帯幅制御を行ってさらに太陽電池の変換効率を改善することを目指し、三元素の電着溶液にさらに硫黄(S)を加えた四元素を同時電着する方法を試みた。この場合、電着溶液を一定時間放置し、生じる沈澱をろ過し去った溶液を用いることでCuIn(S, Se)_2四元薄膜が堆積できることがわかった。このとき、ほぼ化学量論組成の膜を得るための電着条件(電着電位、溶液組成)を明らかにした。・電着した薄膜を真空中で熱処理することにより、CuInSe_2およびCuIn(S,Se)_2のX線回折ピークが観察され、カルコパイライト構造を持つ半導体薄膜の形勢が確認できた。・CIS薄膜上にアルミニウム薄膜を蒸着した構造で、整流性が確認できた。