著者
名倉 正剛 薄井 駿 高田 眞吾
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.2_71-2_89, 2021

<p>Androidアプリケーションはイベント駆動型ソフトウェアである.開発者はAndroid API内のコールバックメソッドを継承し内部を記述することでイベントに対する処理を実装する.Android フレームワークから継承したクラスを作成する際に,実装すべきコールバックメソッドを実装し忘れている場合,アプリケーションが予想外の振る舞いをする可能性がある.本研究では,そのような実装漏れメソッドを検出し,開発者に提示する手法を提案する.提案手法では,同じ基底クラスを持つサブクラスの多くに実装されているメソッドや,同時に実装されているメソッドに着目し,既存プロジェクトを解析して得たメソッドの実装頻度と実装の共起関係を基に実装漏れメソッドを検出して,開発者に提示する.提案手法を Android Studio のプラグインとして実装し,既存の Android プロジェクトを対象に評価実験を行った結果,実装漏れメソッドのうちの半数以上を未実装メソッドの上位 15 % 以内に検出し提示できることを確認した.</p>