著者
柴田 和祈 高田 眞吾
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.647-658, 2013-02-15

Webアプリケーションの高速化の一技術としてプリフェッチがある.プリフェッチとは,Webページをサーバ側からクライアント側へと先取りすることによって,ページ遷移にかかる時間を短縮する機能である.プリフェッチには様々な手法がある.従来の手法はWebページの遷移が固定である静的なWebアプリケーションにのみ対応しており,ユーザの入力によって遷移先のWebページが変化する動的なWebアプリケーションには対応していない.しかし,現在,静的なページのみで構成されているWebアプリケーションはごく少数であり,動的なWebアプリケーションのためのプリフェッチ手法はない.その最大の原因は,ユーザのクリック先は予測できても,ユーザがフォームなどにおいて入力する内容まで予測することができないからである.本研究では動的なWebアプリケーション(PHPアプリケーション)のためのプリフェッチ機構を提案する.提案機構の基本コンセプトは,Webページを静的なコンテンツと動的なコンテンツに分離することである.分離後,静的コンテンツはリンクプリフェッチを用いてあらかじめ取得し,動的コンテンツはAjaxを用いて後から補完することで,動的なWebアプリケーションにおけるプリフェッチを可能にする.
著者
今関 雄人 高田 眞吾
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.3041-3051, 2009-12-15

Webアプリケーションは機能の追加や変更が非常に多いという特徴がある.このため,回帰テストが非常に重要である.Webアプリケーションの回帰テストを支援するツールとして,クライアントからの入力を保存し,それを再現してテストを再実行するものがある.さらに,これらのツールは再実行時の実行結果を検査することも可能である.しかしながら,これらのツールは,クライアントサイドの入出力にのみ着目しており,サーバサイドの入出力を扱うことができない.そこで,本論文ではサーバサイドの入出力を考慮したWebアプリケーションの回帰テスト支援ツールを提案する.本ツールは入出力としてHTTPリクエスト/レスポンス,データベース,セッション変数,サーバ時刻を扱う.本ツールはこれらの入力を保存し,それを再現してテストを再実行することができる.さらに,本ツールはこれらの出力を保存し,再実行時の出力と比較することにより,テスト結果を自動的に検査することができる.これらの機能により,Webアプリケーションの回帰テストを自動的に行うことができる.The regression testing of Web applications is very important because, compared with general applications, their requirements change more frequently. Some regression test support tools can save the input and re-execute previous tests by restoring saved input. Furthermore, these tools can automatically verify the re-executing output using assertion. However, these tools focus only on client side information and do not handle server side information. In this paper, we propose a regression test tool forWeb applications, which supports both server side and client side information. For input and output, our tool handles HTTP request/response, database, session variable, and server time. Our tool can save and restore these inputs, save the resulting outputs and compare previous outputs with re-executing outputs for verification. These functions make possible the automatic regression testing of Web applications.
著者
今関 雄人 高田 眞吾 土居 範久
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.2328-2337, 2008-07-15

ラウンドトリップエンジニアリングは,モデリング段階とコーディング段階を往復しながらソフトウェア開発を行う手法である.ラウンドトリップエンジニアリングを支援するために,クラス図の変更をソースコードに自動的に反映させ,またソースコードの変更をクラス図に自動的に反映させるツールがある.しかし,従来のツールでは,クラス図などの静的側面のモデルを扱うのみで,動的側面のモデル,すなわちシーケンス図やステートチャートとソースコード間のラウンドトリップエンジニアリングを扱うことはできない.そこで,本研究では動的モデルとソースコード間のラウンドトリップエンジニアリングを支援するツールを提案する.本ツールはMVCパターンに基づいたアプリケーションを対象とし,シーケンス図,ステートチャートとソースコード間のラウンドトリップエンジニアリングを支援する.本ツールを使用することにより,動的モデルとソースコード間の効率的なラウンドトリップエンジニアリングが可能となる.
著者
名倉 正剛 薄井 駿 高田 眞吾
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.2_71-2_89, 2021

<p>Androidアプリケーションはイベント駆動型ソフトウェアである.開発者はAndroid API内のコールバックメソッドを継承し内部を記述することでイベントに対する処理を実装する.Android フレームワークから継承したクラスを作成する際に,実装すべきコールバックメソッドを実装し忘れている場合,アプリケーションが予想外の振る舞いをする可能性がある.本研究では,そのような実装漏れメソッドを検出し,開発者に提示する手法を提案する.提案手法では,同じ基底クラスを持つサブクラスの多くに実装されているメソッドや,同時に実装されているメソッドに着目し,既存プロジェクトを解析して得たメソッドの実装頻度と実装の共起関係を基に実装漏れメソッドを検出して,開発者に提示する.提案手法を Android Studio のプラグインとして実装し,既存の Android プロジェクトを対象に評価実験を行った結果,実装漏れメソッドのうちの半数以上を未実装メソッドの上位 15 % 以内に検出し提示できることを確認した.</p>
著者
高田 眞吾
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1119-1119, 2018-04-15
著者
山本 恭裕 高田 眞吾 中小路 久美代
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.82-92, 1999-01-01
被引用文献数
17

The goal of this study is to design and build a computer system to support the basic cognitive activity of "writing" in a more natural and effective manner. The paper starts with a description of a writing process, followed by an overview of existing models on writing. Then, the notion of "Representational Talkback" is proposed as an important aspect in supporting collage-style writing. Representational Talkback is defined as "feedback from externally represented artifacts." The ART (Amplifying Representational Talkback) system is implemented based on this notion, focusing on the role of meta-comments in writing. The goal of the system is twofold : (1) to support collage-style writing of a document, and (2) to observe how people "write" using ART. The paper concludes with a discussion of the result of a study on how people "write" using ART with an eye towards extending the notion to other types of cognitive activities.
著者
名倉 正剛 高田 眞吾 土居 範久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.588-603, 2007-02-15

近年,ユーザに意識させずにソフトウェアの動作する機器を自動的に連携させるために,"シームレスコンピューティング" という概念が注目されている.分散コンポーネント技術をシームレスコンピューティングに適応させるためには,コンポーネントが動作する機器をネットワークに接続するだけで,ネットワーク上のその他の機器と自動的に連携するという,いわゆる"Plug and Play" ができる必要がある.そのためには,満たさなければならない要件がいくつかある.本研究ではそれらのうち,コンポーネントを発見するための方法と,発見したコンポーネントを利用する際にコンポーネントの異種性を吸収するための方法に着目する.それらの要件を満たし,異種分散コンポーネントの存在するサーバやそれを利用するクライアントをネットワークに接続することによって,Plug and Play で動作させる環境を提案し,この環境を実現するシステムを実装する.Recently, "Seamless Computing", which is a concept for automated integration of appliances executing many software, has attracted a great deal of attention. To accommodate technologies for distributed components to Seamless Computing, it is necessary to be able to "Plug and Play" appliances that execute component software through integrating automatically with other appliances attached to the network. Many requirements need to be satisfied to make this possible. In this work, we focus on the discovery of components and the integration of heterogeneous components. We propose an environment where servers with heterogeneous distributed components and clients using those components can be executed through Plug and Play. We implement a system to realize this environment.