著者
藏並 潤一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理學雜誌 = Folia pharmacologica Japonica (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.139, no.3, pp.109-112, 2012-03-01

GLPとはGood Laboratory Practiceの略称で,安全性に関わる非臨床試験の信頼性を確保するための基準であり,33年前に世界に先駆け米国において制定された.日本には,その後4年遅れて導入され,省令化や安全性薬理試験への適用等の変革を遂げてきた.一方,海外に目を転ずると,日本のGLP制定に先駆けOECD GLPが制定され,その後一部改正を経て現在に至っている.さらに,OECDにおけるGLP適合査察機関現地評価制度の合意を受け,GLPの国際整合が加速された.日本の医薬品GLP省令は,2008年の一部省令改正により国際整合の波に乗り,自由度が増した結果,自ら考え,自ら行動することの重要性が取り沙汰されはじめた.申請資料の信頼性の基準とGLPとのボーダレス化が進む中,我々は試験の信頼性の確保に真に必要な,「筋肉」のみを残す取り組みを始めるべきであろう.