著者
古閑 美奈子 藤井 まさ子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.320-330, 2021-05-15 (Released:2021-06-03)
参考文献数
31

目的 本研究では,食品群の中でもっとも食塩摂取量が多い調味料に注目し,調味料を使用した料理の摂取状況を明らかにすることを目的とした。方法 平成26年山梨県民栄養調査で得られた20歳以上の503人のデータを用いた。食塩を含む調味料の摂取状況については,調査票の内容に基づき使用頻度の多いしょうゆ,塩,味噌,めんつゆ,ケチャップ,ソース,マヨネーズ,顆粒和風だし,固形ブイヨン,中華だし,ドレッシング,ルウの12種類を抽出し,食塩摂取源調味料とした。調味料の食塩摂取量は,世帯の総摂取量,案分比率より個人ごとの調味料の摂取量を算出し,日本食品成分表を使用して食塩量を求めた。料理区分は,ご飯類,めん類,汁物類,焼き物類,炒め物・揚げ物類,煮物類,和え物類,その他の8区分に分類した。朝食・昼食・夕食別の料理ごとの食塩摂取源調味料の摂取者割合および寄与率を算出した。また,年齢階級と料理ごとの食塩摂取源調味料の摂取者割合の関連,料理ごとの食塩摂取源調味料からの食塩摂取量の関連を検討した。結果 1日の食事で食塩摂取源調味料を摂取する者の割合は,しょうゆ86.3%,塩84.5%,味噌73.4%,顆粒和風だし69.6%であった。食塩摂取源調味料を使用した料理を摂取する者の割合は,和え物類84.5%,汁物類74.2%,焼き物類67.0%,煮物類67.0%であった。料理ごとの調味料摂取をみると,汁物類に味噌を使用する摂取者割合は67.8%であった。年齢階級と料理別の食塩摂取源調味料の摂取者割合の関連については,汁物類および和え物類は,年齢階級が上がるにつれ,摂取する者の割合が有意に増加した(P<0.001)。炒め物・揚げ物類および焼き物類は,年齢階級が上がるにつれ,摂取する者の割合が有意に減少した(P<0.001, P=0.028)。年齢階級と料理ごとの食塩摂取源調味料からの食塩摂取量との関連は,年齢階級が上がるにつれ,和え物類からの食塩摂取量が有意に増加している(P=0.008)一方,炒め物・揚げ物類からの食塩摂取量は年齢階級が上がるにつれ有意に減少していた(P<0.001)。結論 本県において,食塩摂取源となる主な調味料を摂取する者の割合について年齢階級別にみると,汁物類,和え物類は年齢が上がるほど有意に増加した。一方で,焼き物類,炒め物・揚げ物類は若年者の摂取が多かった。年齢別に食塩摂取源調味料の摂取に違いがあることを踏まえて,調味料の使用量を減らす啓発をすることが重要であることが示唆された。