著者
藤原 俊朗
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.99-114, 2003-07-15

最近相次いでExcelを使った産業連関分析の参考書が発刊された。大阪学院大学・井出眞弘教授の「Excelによる産業連関分析入門」と早稲田大学・中村愼一郎教授の「Excelで学ぶ産業連関分析」がそれである。両書ともExcelを使った事例が豊富に掲載されており,これから産業連関分析を本格的に産業連関分析を学ぶ大学生や社会人にとって格好の入門書であり,応用書でもある。更に,パソコンによる産業連関分析の参考書を取り上げる場合,忘れてならないのが1990年に刊行された中央大学・横倉弘行教授の「産業連関分析入門パソコンによるLeontief」である。まだ,パソコンが十分な能力を発揮する以前に書かれた横倉教授のこの著書は特筆に値するものである。内容的にも先にあげた両書が入門的な性格であるのに対して,産業連関分析のあらゆる分野を網羅したハンドブック的な専門書である。以上の三冊は大学院修士課程で本格的に産業連関分析に取り組む際には不可欠の参考書となろう。大学での入門書としては,井出教授か中村教授の著書を部分的に勉強することになるだろう。その際,計量経済的なアプローチをするのなら前者,環境問題を意識するなら後者となろう。