著者
藤原 加奈江
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.252-256, 2010-07-20

自閉症スペクトラムのコミュニケーション障害は語彙, つづり, 音韻などは良好な一方で複雑な文の理解や暗喩や皮肉の理解が困難であるなど偏りが見られる. さらに独り言は言うのに会話しない, あるいは会話のルールがわからないなどさまざまなレベルでの言語使用の障害がその特徴となっている. その背景には中枢性統合理論と親和性の高い低連結性理論や社会脳の障害など脳の情報処理の違いが論じられている. さまざまな高次脳機能障害を併せもつ自閉症スペクトラムの言語訓練は神経心理学的検査などの包括的な評価を基に, その障害特徴を考慮し効果的に行えるよう工夫が必要になる.