- 著者
-
藤原 英記
- 出版者
- 公益社団法人 日本油化学会
- 雑誌
- オレオサイエンス (ISSN:13458949)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.3, pp.103-108, 2019 (Released:2019-09-25)
- 参考文献数
- 30
ヒトは「味覚」によって体にとって摂取すべきものと忌避すべきものとを弁別している。甘味はエネルギー摂取の役割として主に糖の摂取を促し,うま味は体の構成成分としてのアミノ酸の摂取の役割としてタンパク質の摂取を促す。その点から考えると,糖を中心とした炭水化物,タンパク質と並び三大栄養素の一つである油脂にも摂取を促す「味」があると考えることは自然である。しかしながら,油脂はそのまま摂取しても味や香りはなく,さらに摂取したいと思うことはない。この点からも油脂の味覚に関する研究は,五味の研究と比べると大きく遅れているのが実態であるものの,徐々に研究が進み油脂の「味」に関しても明らかにされつつあるため,その一部を紹介する。また我々は脂肪酸の一つであるアラキドン酸が食品のおいしさを向上させる効果を有することを示し,特にうま味を向上させることを明らかにした。また同様にアラキドン酸の分解物が味覚感受性に影響を与えることが示された。