著者
藤島 一満
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.13-16, 1990-02-20 (Released:2017-02-10)

速さという言葉で直観する内容には,定義されている概念とは違った意味を含んでいることに正しく気づいて,慎重に指導している教師は少ない。日常「速い」という場合,「動きが急だ」「時間的に短い」ということを意味しているのであり,だから昔から速さを競うスポーツでは,一定距離をだどる時間の短さで争われた。速さから直覚されるのは,時間であって距離ではない。目に見える具体量としての速さの認識により,目に見えない抽象量である時間の計測が可能になる。決して時間の認識が速さの認識より先にくるのではない。運動の概念を理解するためには,子どもはこの二重の障害を突破しなければならない。
著者
藤島 一満
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.168-171, 1990-09-10 (Released:2017-02-10)

重力が作用している場合の衝突については,衝突する時間が短いので重力の影響は無視できるという前提条件がなければ,この場合に運動量保存の法則が適用できるかどうかといったことについて高校生に判断させることは,高校教科書の記述の文脈からいって無理なことではないかと思う。この種の問題が最近の入試に頻出されているが,そのいずれにも「重力の影響は考えなくてもよい」という前提条件が述べられていない。このことについて出題大学あてに送った質問状の回答に「すべて衝突においては,たとえ重力が働いていても,常に運動量保存の法則が成立するというのが初等物理の約束である。だから重力の影響について前提条件は不用である」とあった。これでは,高校教育についての配慮がまったくない,といえるのではないか。
著者
藤島 一満
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.294, 1992-12-02 (Released:2017-02-10)
参考文献数
6