著者
木村 勝志 藤島 涼子 中村 美香
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.E0163-E0163, 2005

【目的】運動習慣形成には運動の大切さの認識と運動している事を自覚することが必要である。行動変容段階モデルの無関心期、関心期から準備期、実行期に移行してもらう動機付けとして運動教室を開催し、歩数とQOLの変化から効果的な支援方法を検討した。<BR>【方法】教室は2004年9月と10月に週1回を連続8回約7週間続けて開催した。対象者は40代50代を広報紙にて募集し、継続参加した44名とした。内訳は男性1名、女性33名、平均年齢52.3±4.4歳であった。1回平均参加人数33.5±7.8人、1人の平均参加回数6.1±1.4回であった。内容は、一回と八回に「運動」「栄養」の講話を行い、二回から七回の計6回は実際に運動を行った。二回以降の内容は「ストレッチ&リズム体操」「ダンベル体操」「ウォーキング」「体力テスト」「ソフトバレー」「山登り」とした。教室日以外でも運動が自覚されるように毎日の歩数を万歩計で計り日誌に記録することを義務付けた。健康関連QOLの評価にはSF-36を用い、初回と終了回の2回記入してもらった。<BR>【結果】運動習慣有り(以下有群)と無し(以下無群)に分けて検討した。有群30人(52.8±4.4歳)、無群14人(51.4±4.5歳)であった。7週間の平均歩数は有群9,293.3±2,889.1歩、無群8,213.3±3,491.7歩であり約1,000歩の差があった。各週の平均歩数は五週と七週以外は有群が無群より多かった。また、一週目の歩数を基準とし以降の週との歩数差を増加歩数として比較した。平均増加歩数は有群783.5±716.2歩、無群1,727.0±871.7歩であった。無群は有群より約1,000歩多く増加していた。SF-36の8の下位尺度の点数は、各群初回より終了回が高くなっていた。「活力」と「心の健康」は有群が初回終了回ともに高く、「身体機能」は無群が初回終了回ともに高く、「社会生活機能」「身体の痛み」「日常役割機能(精神)」は初回有群が高く終了回は無群が高くなっていた。<BR>【考察とまとめ】健康日本21の目標で健康的な目標歩数は現状プラス1,000歩で男性9,200歩以上、女性8,300歩以上とされている。女性の目標値と比較した場合、7週間の平均歩数で有群は目標数を約1,000歩上回り、無群は約100歩下回っていた。有群の一週目は平均8,719.7歩と既に目標数を超えており、以降の週の増加歩数は平均783.5歩であった。無群の一週目は平均6,942.0歩で、日本人女性1日平均7,282歩を下回っていたが一週目以降の増加歩数は平均1,727.0歩であった。QOL尺度からは、無群の「身体機能」は有群より低くなく、教室参加を機会に歩数が多く増加したとみられる。また、歩数増加が日常生活に取り込まれ「社会生活機能」「身体の痛み」「日常役割機能(精神)」を有群より高くしたと考えられた。有群は日常の運動習慣に加えて教室に参加することで「活力」が高まり、「心の健康」も得られたのではないかと考えられた。