著者
太田 純一 大竹 慎二 南村 和宏 澤田 卓人 藤川 敦 林 宏行 森山 正敏
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.289-293, 2013 (Released:2013-11-16)
参考文献数
10

経尿道的膀胱腫瘍一塊切除術(Transurethral resection of bladder tumor in one piece:TURBO)は,腫瘍を細切せず一塊に切除することで,より正確な病理診断が可能である.その治療成績と病理診断における有用性について報告する.膀胱腫瘍135例,173病変に対し経尿道膀胱腫瘍一塊切除(TURBO)を施行した.切除は1.marking,2.粘膜切開,3.水平切除,4.腫瘍摘出の順に施行した.腫瘍は膀胱内いずれの部位でも切除可能であり,合併症も許容される範囲であった.切除検体に筋層を含む症例は123例(91.1%)に認めた.pT1 23例中22例(95.7%)に粘膜筋板を認めた.粘膜筋板を超えない浸潤であったT1症例は進行例を認めないが,粘膜筋板を超える浸潤を認めた7例中4例に病期進展を認め,1例に上部尿路再発を認めた.TURBOにおける深達度診断は正確であり,粘膜筋板浸潤の有無は予後と相関する可能性が示唆された.
著者
石塚 榮一 岩崎 晧 大内 秀紀 林 成彦 藤川 敦
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.85-91, 2005-02

片側精巣捻転症の臨床的検討と精巣固定術例における両側精巣を解剖学的に比較検討した.対象は,手術を行った片側精巣捻転症例48例であった.好発年齢は10歳代が29例と大部分を占め,40歳以上には認めず,捻転側は左33例,右15例であった.主訴は陰嚢痛,下腹部痛が多く,陰嚢所見は発症後8時間以内では仰臥位で精巣が体軸と直角方向の変位が多かった.そして時間の経過に伴って陰嚢内容の腫脹,陰嚢の浮腫,発赤が加わり,回転は左右どちら側も時計方向・反時計方向とも360度回転が多かった.治療は48例中20例に固定術,28例に摘出術を施行した.48例中5例に徒手整復を試み3例で成功し,7例では整復せず回転が元に戻り固定できた.精索や精巣と鞘膜の関係はすべてBell-clapper typeであった.精巣固定できた20例では,捻転側と反対側の精巣構造が同じ形が13例,異なる形が7例であった