著者
上原 優香里 兎澤 良輔 藤巻 晶 中村 友哉 加藤 宗規
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.12, pp.191-197, 2018

本研究では,腓骨筋に対する伸縮性テーピングの施行が,ハムストリングスおよび体幹伸展筋群に与える影響について検討した.対象者は健常成人8名とした.腓骨筋に対する伸縮性テーピング施行前後で,指床間距離(FFD),下肢伸展挙上角度(SLR),modified schober test(MST)の3項目の評価を実施し,介入前後の値を比較した.介入前後結果(中央値)は,FFDが-4.2㎝,-2.4㎝,SLRは46.0°,48.5°となり,有意に向上した.また,MSTは介入前後ともに21.2㎝となり,有意差はなかった.FFD,SLRの結果から,腓骨筋に対するテーピング貼付において,ハムストリングスの伸張性が向上したと考えられる.これは,長腓骨筋と大腿二頭筋の間に筋膜性の直接接続があることが要因として考えられた.体幹伸展筋群は,脊椎後方の靭帯や軟部組織などの伸張性が大きく変化しない状況では可動域はそれほど変化しない可能性が考えられた.本研究により,腓骨筋に対する伸縮性テーピングはハムストリングスの伸張性を向上させることが明らかになったが,体幹伸展筋群には変化が認められなかった.