著者
藤木 直実
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.25-37, 2005

「テクスチュアル・ハラスメント」-女性に対するテクスト上の性的いやがらせ-のケース・スタディとして森しげの例を取り上げる。彼女の被った<暴力>は、以下の三つに分節することができる。(1)鴎外「半日」における「奥さん」の造型およびその波紋 (2)しげの創作活動をめぐる批評言語 (3)鴎外がしげのテクストに施した「校閲」。本論では主として二点目、すなわち、批評史が遂行的にひとりの女性作家を抹消するに至る過程を再審する。