著者
藤木 省三 千草 隆治
出版者
一般社団法人 日本ヘルスケア歯科学会
雑誌
日本ヘルスケア歯科学会誌 (ISSN:21871760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.52-57, 2021 (Released:2022-03-23)
参考文献数
8

歯の喪失の主原因はう蝕およびう蝕関連疾患が高い割合を占めることが報告されており,子どものう蝕予防が重要であることは明らかである.本研究では,12歳まで継続来院をして定期的管理を受けた子どもを対象として,12歳で初めて来院した者と比較分析することで,多施設の歯科医院における子どもの定期的管理におけるう蝕予防効果を検討した.その結果,定期管理群と12歳時初診グループを比較すると,6歳からの継続受診は12歳時のう蝕を増加させない可能性が示唆され,6歳時から定期管理をすることで,かなりう蝕の発生が抑制でき,早い年齢からのう蝕管理が重要であることが明らかとなった.また,定期管理の受診間隔についても分析したところ,定期管理は少なくとも1年ごとに実施する必要があることが示唆された.さらに,6歳時点でのう蝕が多いと将来来院が途絶える可能性が高いことが推測され,6歳でのう蝕が多い場合は定期管理を行うためにより積極的な関わりが必要であることがわかった.