著者
藤村 謙次郎 山下 彰久 白澤 建藏 城戸 秀彦 原田 岳 林 哲生 牛島 貴宏
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.27-31, 2009

【目的】当院で2000年以降に経験した化膿性膝関節炎を検討し,今後の治療方針決定に役立てる.【対象および方法】2000年から2008年2月までに当科で化膿性膝関節炎と診断されたのは21例21膝.うち合併症のために最終的に下肢切断術を余儀なくされた2例とACL術後感染1例,真菌性膝関節炎1例を除外して検討を加えた.平均年齢69.5(32~89)歳,男性8例,女性9例であった.手術方法は関節鏡下滑膜切除+持続灌流を基本とし,症例に応じて適宜変更した.【結果・考察】退院時のBallard評価基準はgood 2,fair 13,poor 1,死亡1であった.起炎菌の同定,早急な外科的治療および抗生剤投与が重要であり,また,MRSAは治療遷延化および変形性膝関節症(OA)の進行を招き機能予後を低下させる原因であった.さらに2006年以降の4例中3例はMRSA感染であり,近年のMRSA感染増加が示唆された.
著者
山中 美沙 藤村 謙次郎 寺田 和正 小原 伸夫 宮崎 清 嘉村 聡志 小松 孝 筒井 智子 兵藤 裕貴 宮原 寿明
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.294-297, 2019-03-25 (Released:2019-05-16)
参考文献数
11

目的:整形外科手術は手術手袋のピンホール発生率が他の科よりも高率であるとする報告4)8)10)がある.今回,当院整形外科手術での術者と助手における手術手袋のピンホール発生状況について調査したので報告する.方法:2017年11月から2018年3月までの当院での人工股関節全置換術(THA),人工膝関節全置換術(TKA),腰椎・胸椎椎弓切除術(除圧),腰椎・胸椎椎体後方固定術(固定)における術者と第一助手(助手)の手術手袋を調査した.結果:手袋の片方でも穴あきがあれば「ピンホールあり」とした場合,術者ではTKA(100%),固定(62%),THA(35%),除圧(20%)の結果であった.部位は,術者,助手ともに非利き手の母指,示指で多かった.考察:今回の調査においては,人工物を挿入するTKA・THA・固定でピンホール発生率が高かった.手術部位感染や医療者側の感染対策において,二重手袋及び手術中の定期的な外側手袋の交換は必須の事項と考えられる.