- 著者
-
藤森 正登
- 出版者
- 順天堂医学会
- 雑誌
- 順天堂医学 (ISSN:00226769)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.1, pp.34-38, 2000-06-26 (Released:2014-11-21)
- 参考文献数
- 2
花粉症の主要症状は, 発作性反復性のくしゃみ・鼻水・鼻づまりです. この他に眼・鼻・のどの痒み, 喘息様の発作を伴うこともあります.
これらのアレルギー反応は, 本来異物が身体に入るのを防ぐための防衛システムです. けれどもこの防御反応の起こり方には個人差があります. 何の反応も出ない人もいれば, 反応が過敏になり, くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が過剰に出現して生活に支障を来たす人もいます.
花粉症の予防は花粉を回避することにあると考えられます. 日常生活では次のような点に気をつけてはいかがでしょうか.
風の強い日の外出を避ける. 帰宅後は, 洗顔やうがいをしたり, 鼻をかむ. 鼻の洗浄は鼻粘膜の剥離や損傷を招くので, あまりおすすめできません.
外出時には, マスク・帽子・めがねカバーやゴーグルなどを着用する. ごく一般的なガーゼマスクで十分花粉を防御でき, 少ししめらせてあげることでその効果がさらに大きくなります.
花粉が付着しにくい衣類. 外出から帰ったときには花粉がついているので, 玄関で衣服をよくはたいたり外で干した布団や洗濯物には, 取り込む前にはよく払うことがいわれていますが, これは生地によりけりです. 化繊や化繊と木綿の合繊布地は24時間屋上に干しても花粉の付着がなく, 毛織物でも付着数はごくわずかなので, ほとんどの洗濯物の場合は通常通りの干し方でかまわないと思われます. 布団を干す場合ならば表面に布を1枚かける程度で良いと思われます. 帰宅時には花粉を家に持ち込まないようにする. 外出には化繊のコートの効果が期待されますが, 帰宅時に衣類をはたくとこれにより花粉を吸入して症状を引き起こす可能性がありますので, そのまま玄関にかけておく程度で十分と思われます. 窓や戸をしっかり閉める. 室内の清掃などの, 日常一般的な対策をまずとりましょう.