著者
三澤 寿美 片桐 千鶴 小松 良子 藤沢 洋子
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
山形保健医療研究 (ISSN:1343876X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.PAGE9-21, 2004-03-01
被引用文献数
2

第1報では、日本人女性の妊娠期の母親役割獲得過程、特に妊娠期にあるはじめて子どもを持つ女性の気持ちと行動の変化に焦点をあて報告した。そこで、本稿では、気持ちの変化に影響を及ぼす要因が、どの時期に、どのように妊婦の気持ちに影響を及ぼしているのかについて明らかにすることを目的とした。データは質的に収集し、8人の妊婦に継続して、妊娠初期、中期、後期、末期に半構造化面接法を用いてインタビューを行った。分析は質的帰納的に行った。その結果、妊娠期にあるはじめて子どもをもつ女性の気持ちの変化に影響を及ぼす要因のうち、『妊娠反応がプラスになる』『妊娠が確定する』は妊娠初期に、『胎動を初覚する』は妊娠中期に、『胎動を自覚する』『妊娠経過に伴う体型の変化』は妊娠中期、後期、末期に、『妊婦検診時に超音波画像を見る』『超音波画像の写真やビデオを見る』『育児の場面を見る』『夫の言動』『実母の言動』『義母の言動』『家族以外の人の言動』『マイナートラブル』はすべての時期で、妊婦の気持ちの変化に影響を及ぼしていた。また、同じ要因であっても、作用する時期や要因の作用する気持ちの変化のパターンが違う場合があった。妊娠期にあるはじめて子どもをもつ女性に対して、妊婦の気持ちの変化に影響を及ぼす要因がどの時期に、どのように影響しているのかを考慮しながら、個別的にアプローチする必要性が示された。