著者
小林 聖 藤浪 寿夫 広田 秀憲
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.206-211, 1989
被引用文献数
1

牧草地の強害雑草であるエゾノギシギシの防除法の基礎資料を得る目的で,本雑草の生活史を1年間にわたり調査,検討した。1. 地上部の生育において,草丈および葉数は,生殖生長への移行とともに急激に増加し,開花期から未成熟期にかけて最高値を示した。また,刈取り後は越冬前まで漸増する傾向を示した。茎数および萌芽数は,刈取り前・後とも一定して増加した。地上部乾物重(葉重,茎重,蕾・種子重)も生殖生長への移行とともに急増し,未成熟期に最高重量を示した。なお,成熟期の種子粒数は約15,000粒であった。1個体あたりの葉面積は,最も葉数の多くなる開花期まで急増した。しかし,越冬前には葉数が少ないにもかかわらず,開花期とほぼ同じくらいの値を示した。葉位別の葉面積は第3葉から第6葉まで急激に増加し,第6葉から第13葉までの根生葉では,一枚あたり,100cm^2以上の高い値を示した。また,第13葉以降激減した。2. 地下部の生育において,根径は,再生初期に若干減少したものの,ほぼ一定して増加し,越冬前には直径24mmになった。地下部乾物重(直根重,側根重)は,直根重では根径とほぼ同様な傾向を示したものの,側根重では再生初期まで増加し,それ以降一旦減少したものの再び増加した。