著者
仁尾 かおり 石河 真紀 藤澤 盛樹
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.543-552, 2014-09-01 (Released:2014-10-15)
参考文献数
18
被引用文献数
1

背景:先天性心疾患をもつ学童期から青年期の患者の病気体験に関連したレジリエンスの構造を明らかにし,“病気体験に関連したレジリエンス”アセスメントツールを作成する.方法:学童期から青年期の患者を対象に,“病気体験に関連したレジリエンス”を調査し,因子分析により構造を明らかにした.また,背景要因による特徴を分析した.結果:有効回答178名,年齢10〜32歳(平均17.2±5.8歳)であった.因子分析の結果,「自分の病気を理解できる」,「前向きに考え行動する」,「無理をしないで生活する」の3つが明らかになった.背景要因による比較では,年齢の高い人が「自分の病気を理解できる」が高得点であり,重症度の高い人が「前向きに考え行動する」が低得点であった.「無理をしないで生活する」では,背景要因による差は認めなかった.考察:発達段階の早い段階から病気の理解を促す支援をすること,重症度が高い人の「前向きに考え行動する」ことへの支援,また,先天性心疾患をもつ人に特有な要素として見いだされた「無理をしないで生活する」ことを支えることが重要である.