著者
藤田 寿伸
出版者
大学美術教育学会
雑誌
美術教育学研究 (ISSN:24332038)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.217-224, 2021 (Released:2022-03-31)
参考文献数
43

ブルーノ・ムナーリによる子どものための芸術教育について,その活動と先行研究を調査し,ムナーリの教育観と教育手法がどのように形成されたか,先行研究を参照しながら考察する。本研究ではムナーリ本人の著書研究と関連文献調査,関係者への聞き取りによってムナーリの教育の概要の把握と後継者たちが展開する「ブルーノ・ムナーリ・メソッド®」を調査し,またイタリアにおいてムナーリの教育がどのように理解されているか,ムナーリによるワークショップ教育と幼児教育の関係性について考察した。日本でのムナーリの教育の周知は遅れているが,ムナーリと日本の関わりは深く,芸術家ムナーリへの関心も高い。ムナーリの影響が指摘されるレッジョ・エミリアの幼児教育への関心が日本では高まっており,ムナーリの教育手法と教育哲学の理解が,日本の幼児教育における創造的教育方法開発のヒントとなることが期待できる。