著者
藤田 尚美 間所 啓一郎
出版者
The Geodetic Society of Japan
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.125-131, 1969

月平均潮位の解析に修正差方式― ある海域内で,二つの検潮所の月平均潮位の差をとり,年周変化を消去する方法―を導入した.修正差の方式を用いると,単純差の場合に比して,2検潮所の月平均潮位の差の不規則性はかなり減小する.その標準偏差は,約15mmと考えられる. 新潟地震については,1)新潟地震前の月平均潮位の差には,1959年のわずかな経年変化の変動を除いて,異常変動は認めにくい.2)柏崎を基準として,地震の際の地殻の上下変動として岩崎は動かず,鼠ケ関は約20cm下がり,輪島は2~3cm下がつたように見える.3)鼠ケ関-柏崎の月平均潮位の差の経年変化は,地震前後で変化したように見える.このような例は,南海道地震の際,紀伊半島南端の串本検潮所の潮位変動にもみられる. 1968年十勝沖地震については,1)小名浜を基準にして,八戸,宮古の地盤は数cm下がつたようである.2)小名浜を基準にして,八戸,宮古検潮所の1966年の異常変化は海象による可能性がある.