著者
大薗 修一 藤田 恵里子
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.45-55, 2021-06-01 (Released:2021-06-10)
参考文献数
27

本研究の目的は,日本の大学生英語学習者における英文理解時の語義検索行動が,辞書の種類や英語の習熟度によってどのように影響を受けるかを明らかにすることである。参加者(印刷辞書群とスマホ・オンライン辞書群)に,英文中の目標語の適切な意味を選択させる英文語義検索タスクを実施した。その結果,印刷辞書群とスマホ・オンライン辞書群の間には差は見られなかったが,英語熟達度上位群の方が下位群よりも高得点を得たことが示された。特に,スマホ・オンライン辞書の下位群は,意味選択ではなく品詞選択でミスをする傾向があることが示された。また,英語熟達度の低い学習者は辞書に記載されている最初の意味を選択する可能性がある。このことから,指導者は辞書に記載されているすべての意味に目を通すように指導するだけでなく,文中の目標語の品詞にも注意を向けさせるべきであることが示唆された。