著者
酒井 志延 中西 千春 久村 研 清田 洋一 山内 真理 間中 和歌江 合田 美子 河内山 晶子 森永 弘司 浅野 享三 城一 道子
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.9-20, 2010-03-31

In this paper, 3587 college students from 13 universities were divided into three groups depending on their English proficiency, and their perceptions of language study were investigated through seven scales adapted from past literature studies. The result shows that one of the major factors which differentiate the upper from the middle and lower percentile groups is the use of meta-cognitive strategies: the lower English proficiency the learners have, the less often their use of meta-cognitive strategies becomes. It is assumed that this phenomenon is caused by learners' stages of development of meta-cognition. Accordingly, in order to improve English proficiency of the middle and lower percentile groups, it is crucial to nurture their meta-cognition.
著者
仲道 雅輝 竹岡 篤永 根本 淳子
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
pp.2021.07.20.02, (Released:2021-09-01)
参考文献数
14

初年次教育における学生の学習経験の質向上に向けた授業改善の取り組みとして,Parrishの「ID美学第一原理」に示される学習者要因(4要因:意図・プレゼンス・開放性・信頼感)を枠組みとした「授業改善ヒント集;学習者要因編」を作成した。このヒント集の項目は,初年次教育に携わる教員への半構造化面接法により導き出されたものである。授業改善の方策として,意図20項目,プレゼンス35項目,開放性21項目,信頼感24項目が抽出できた。これらは,授業を通じて,学生の学習経験の質の向上に取り組もうとする教員の自己評価や授業改善の手掛かりとなるものである。
著者
中園 篤典
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.76-90, 2016-03-31 (Released:2017-02-08)
参考文献数
14

When assigning reports in a “Japanese Linguistics” liberal arts course, the author explains and demonstrates to students the format of a thesis paper and instructs them to write reports according to this format. It was found that 12.1% of reports submitted in 2007 lacked thesis-paper structure and were similar to essays. The author hypothesized that those students who were able to properly write a problem proposal as a result of instruction conducted in 2007 would be able to write reports with structures similar to thesis papers. Therefore, in instruction from 2008 to 2010, the author limited all students to a single problem proposal and had them write reports. In 2008, 6.7% of reports lacked an adequate thesis-paper structure. In 2009, the percentage dropped to 6.5%, and to 5.7% in 2010. In order to confirm that this decrease did not occur by chance, the changes in percentages were tested by normal distribution. Comparing 2007 and 2008, the test statistic was Z≒1.79. For 2007 and 2009, it was Z≒2.01. For 2007 and 2010, it was Z≒2.32. In all cases, the values exceeded the one-tailed 5% test index of 1.65 and did not exceed the one-tailed 1% test index of 2.33. Therefore, we can roughly characterize the effects by saying that the percentage of reports lacking structure decreased as a result of the author’s instructional approach.
著者
秋山 英治 仲道 雅輝 都築 和宏 光宗 宏司 三好 徹明
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
pp.2019.05.21.01, (Released:2019-06-01)
参考文献数
13

愛媛大学附属高校をモデル校としておこなったeラーニングを活用した早期・情報教育プログラムの教育的効果を検証するために,高校入学時に受検したプレイスメントテストとプログラム終了時に受検した到達度テストの結果を比較した結果,プレイスメントテスト時の上位群・中位群・下位群の全成績群で情報力の向上が確認された。さらに,事後アンケートから,プログラムに対して,成績群に関係なく,肯定的に捉えていることが明らかになった。
著者
中村 健
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.85-95, 2012-03-31

This article first reviews the historical process of how the first universities,i.e., the Universities of Bologna and Paris, arose, and then overviews and compares the current higher education reforms which are being implemented in Japan and Europe. Through this, the author draws the following conclusion: the essence of the first universities established in Medieval Europe was their universality, achieved mainly through the universal influence of their knowledge and the mobility of academics and students. The reform of higher education currently being implemented in Europe, called the "Bologna Process," apparently has this universality as its basic philosophy. In contrast, the reforms being implemented in Japanese higher education seem to lack a historical standpoint and make light of the universality which we should expect of our universities.
著者
仲道 雅輝 竹岡 篤永 根本 淳子
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.179-189, 2021 (Released:2022-08-20)
参考文献数
14

初年次教育における学生の学習経験の質向上に向けた授業改善の取り組みとして,Parrishの「ID美学第一原理」に示される学習者要因(4要因:意図・プレゼンス・開放性・信頼感)を枠組みとした「授業改善ヒント集;学習者要因編」を作成した。このヒント集の項目は,初年次教育に携わる教員への半構造化面接法により導き出されたものである。授業改善の方策として,意図20項目,プレゼンス35項目,開放性21項目,信頼感24項目が抽出できた。これらは,授業を通じて,学生の学習経験の質の向上に取り組もうとする教員の自己評価や授業改善の手掛かりとなるものである。
著者
峯島 道夫
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.125-140, 2011-09-30 (Released:2017-06-01)

This paper aims to demonstrate, as a case study using qualitative analysis, the effectiveness of evaluative, as opposed to fact-finding, questions for deepening learners' reading comprehension and developing their critical thinking skills in the instruction of reading. A short narrative was used as the text for 68 low-proficiency EFL college students. They were posed a series of evaluative questions as they read it, such as those that required them to predict the next turn of the plot, detect incongruities in the text, draw elaborative inferences about implicit causality, retell the story from a different view point, and reflect on and evaluate the main characters and the theme of the story. Analyses of learners' responses to these questions reveal degrees of their deepened understanding of the text and use of critical thinking skills.
著者
中嶋 輝明
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
pp.2023.01.16.01, (Released:2023-02-01)
参考文献数
4

1年次生を対象に大学入学時点での学習動機を調査した結果を報告している。測定したデータは,市川(1995a)による学習動機の2要因モデルに従ったものである。2018年度から2021年度までに蓄積された測定データを分析し,1年次生全体の学習動機に関する基本的な傾向を把握するとともに,階層的クラスター分析を探索的に適用して学習動機に関する学生個人の特徴ならびに個人間の類似性や差異を調べた。分析結果に基づき,本資料の有用性および今後の課題について述べている。
著者
鈴木 一克 塙 雅典 森澤 正之 日永 龍彦 鈴木 裕 佐藤 友香
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.127-136, 2022-07-01 (Released:2022-08-20)
参考文献数
9

政府は,AI戦略2019において,2025年度までに全国の大学・短大・高専の文理を問わずすべての卒業者がデータサイエンスの素養を身に付けるということを達成目標のひとつとして掲げている。データサイエンスは比較的新しい分野であることから,学習用教材の整備が全国的に進められている。本稿では,山梨大学における数理・データサイエンス・AI教育のための教材開発について解説する。山梨大学では,データサイエンス科目で修得すべき知識と技能をまとめたリファレンスを作成し,全学部入学者に対してリテラシーレベルのデータサイエンス科目を必修化した。授業実施にあたり,授業シラバスを作成するとともに教育用教材を設計・開発した。当該教材は,講義動画およびパソコン演習実演動画の2種類から成り,文系・理系を問わず,学生の事前知識や習熟度,授業の目的,または授業を補完するためのリメディアル教育等,必要に応じて教材の必要な箇所のみを学習に利用可能である。本稿ではまた,教材の学外公開等,今後の展開についても述べる。
著者
筆内 美砂 カッティング 美紀 秦 喜美恵 筒井 久美子 平井 達也
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
pp.2022.03.11.01, (Released:2022-04-01)
参考文献数
15

本稿は,立命館アジア太平洋大学(APU)で開講する初年次向け多文化間共修科目について,対面とオンラインを併用した同時双方向型ハイブリッド型授業(ハイフレックス型)の授業実践例を報告し,その教育実践の成果と課題を明らかにする。当該科目は,文化的・言語的背景が異なる学生が混ざってプロジェクトを実施するPBL (Project Based Learning)型授業であり,学部生のティーチングアシスタントを活用したユニークな授業である。全受講生対象の授業評価アンケートの分析結果から,2019年度の対面型と比べて,2020年度のハイブリッド型授業はすべての項目の評価が上がった。とりわけ「学生の学び」「アクティブラーニング」「教員の姿勢・関わり,授業設計」が該当する。これらの結果を踏まえて,ハイブリッド型による多文化間共修授業を活かすために重要な「教育的仕掛け」を考察する。
著者
津田 ひろみ
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.143-151, 2015-10-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2
著者
黒田 匡迪 東寺 祐亮 坂井 美穂 渕上 千香子 吉村 充功
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
pp.jade.2022.02.15.01, (Released:2022-03-01)
参考文献数
4

日本文理大学工学部の初年次において,リメディアル科目として基礎学力講座(数学・国語)をクォータ制で開講している。2019年度までは共通シラバス・共通教材での複数クラスを対面授業で実施してきたが,クラス間の教育効果に差があるという課題があり,2020年度からはチームティーチングによる遠隔授業(合同クラス)への転換を図った。本研究では,チームティーチングが導入されている基礎学力講座(数学・国語)において,対面方式の授業を遠隔方式に変更した場合に,同程度の効果が得られるかを検証した。その結果,対面授業を行った2019年度と,チームティーチングを導入して遠隔授業を行った2020年度とで単位認定率と期末試験点数に有意な差は見られず,遜色ない効果が得られたことが明らかになった。一方で,2020年度の遠隔授業では,2019年度までの対面授業と比較して,欠席過多による不合格者が多いことが明らかになった。授業時のアンケートを基に,遠隔授業に馴染めない学生の原因・特性とそのサポート方法に関する考察を行った。
著者
井内 勝哉 西尾 悠 脊戸 和寿 小川 隆申
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
pp.2021.07.20.01, (Released:2021-09-01)
参考文献数
5

本稿では,理工学部初年次生に対する情報教育において,オンデマンド型online講義をデザインした。講義毎の課題および講義期間終了後の授業アンケートを解析した結果,オンデマンド型online講義では課題達成能力,理解度,満足度の点で対面講義より評価が高かった。オンデマンド型online講義の特徴である反復学習により,理解度の向上が予想された。初年次生の知識の習得幅が大きい情報教育では,オンデマンド型online講義で知識を習得し,その後,対面講義や実習などによる知識の定着が効果的と想定された。
著者
安山 秀盛
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.39-50, 2020-07-01 (Released:2020-08-01)
参考文献数
34

本研究では,つぶやき読みと黙読の二種類の読み方による読解トレーニングが,学習者の聴解力成績に及ぼす影響について比較分析を行った。119名の学生を対象に,二要因の共分散分析を行った結果,つぶやき読みでは,学習者上位グループでのみ成績の向上が示されたが,学習者下位グループにおいては成績の向上は認められなかった。一方で,黙読では学習者レベルにかかわらず聴解力成績の向上が認められた。つぶやき読みの効果が上位グループに限定された要因としては,音韻情報処理が得意な学習者のみが「音声化」の利点を最大限利用できたことが考えられる。一方で,黙読の効果が学習者レベルを問わず認められたことは,「音声化」の負荷を掛けずとも,音韻情報処理が推進された結果によるとの推察ができる。よって,少ない負荷で聴解力成績への学習効果が期待できるトレーニング法という観点から,黙読の新しい利点が示唆されたと言える。
著者
佐渡島 紗織 坂本 麻裕子 宇都 伸之 渡 寛法 大野 真澄 外村 江里奈 中島 宏治
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.151-160, 2016-12-31 (Released:2017-03-27)
参考文献数
21

The purpose of this research is to analyze the structure of academic writing ability of first-year and second-year university students—students who are at the stage of general education. Practitioners and scholars have analyzed students’ writing ability; however, analyses on university students have been limited to those conducted under subjective criteria based on practices in a particular classroom or a certain course. Studies using objective methods have typically been limited to the level of junior-high and high-school students. Thus, the present study analyzed a larger sample of students’ papers at the university level using an objective methodology—factor analysis. 384 assignment papers from various courses written by first-year and second-year university students were evaluated using thirty-five criteria. The criteria were all based on the skills of academic writing without regard to specific fields. Factor analysis indicated five factors relevant to students’ academic writing ability: words and sentences, content, paragraphs, overall organization, and references. This five-factor structure of students’ academic writing ability can be applied in designing an academic writing course as well as in developing a rubric for assessing students’ academic writing at the stage of general education.
著者
篠崎 祐介 鈴木 美穂 冨士池 優美 北原 博雄 中田 幸司
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
pp.2021.07.20.03, (Released:2021-09-01)
参考文献数
11

主体的・対話的に批評を行わせる学修活動を取り入れた授業実践を実施し,批評文の変化を分析するとともに,批評文の変化が大きかったグループの学修活動の分析を会話を中心に行った。その結果,取り出した情報と解釈を結びつける理由づけが記述される等の批評文の変化が見られた。また,分析対象となったグループでは,散発的で単調な会話から相手の発言に関連づいた会話に展開していた。作品がただ面白いという感想から,作品の内容や表現に着目しつつ,他者にも捉えられる理由を求めようとする意識が共有されるようになっていった。一方で,批評においてどのような理由を持ち出すとよいのかという点をメタ的・批判的に意識化させることができなかったという実践上の課題が見出された。
著者
大薗 修一 藤田 恵里子
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.45-55, 2021-06-01 (Released:2021-06-10)
参考文献数
27

本研究の目的は,日本の大学生英語学習者における英文理解時の語義検索行動が,辞書の種類や英語の習熟度によってどのように影響を受けるかを明らかにすることである。参加者(印刷辞書群とスマホ・オンライン辞書群)に,英文中の目標語の適切な意味を選択させる英文語義検索タスクを実施した。その結果,印刷辞書群とスマホ・オンライン辞書群の間には差は見られなかったが,英語熟達度上位群の方が下位群よりも高得点を得たことが示された。特に,スマホ・オンライン辞書の下位群は,意味選択ではなく品詞選択でミスをする傾向があることが示された。また,英語熟達度の低い学習者は辞書に記載されている最初の意味を選択する可能性がある。このことから,指導者は辞書に記載されているすべての意味に目を通すように指導するだけでなく,文中の目標語の品詞にも注意を向けさせるべきであることが示唆された。