著者
西田 十紀人 桂田 雅大 藤田 敏忠 角 泰雄 生田 肇 大瀬 貴之
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.319-323, 2011-03-01

33歳女。患者は上腹部痛および嘔吐を主訴とし、2004年から潰瘍性大腸炎の治療通院中であった。今回、CTで横行結腸左側に直径5cm大の嚢胞性病変と、これを先進部とした同心円状の腸重積像が認められた。また、注腸造影では盲腸内に突出する球状の陰影がみられ、大腸内視鏡では盲腸の粘膜下腫瘍状隆起の頂点に、虫垂開口部と思われる陥凹部が確認された。以上より、本症例は虫垂粘液嚢腫が先進部となった腸重積と考えられ、腹腔鏡補助下回盲部切除術ならびにD2リンパ節郭清が施行された結果、病理組織学的所見では虫垂に単房性粘液嚢胞、内壁に平坦で軽度の乳頭状増殖がみられ、一層の粘液性上皮で覆われていた。一方、悪性所見はなく、最終的に虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された。尚、術後の経過は良好であった