- 著者
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平康 博章
瀬山 智博
和智 仲是
吉田 弦
笠井 浩司
藤谷 泰裕
- 出版者
- 地方独立行政法人 大阪府立環境農林水産総合研究所
- 雑誌
- 大阪府立環境農林水産総合研究所研究報告 (ISSN:21886040)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.1-5, 2017 (Released:2020-04-02)
アメリカミズアブの幼虫は様々な有機物を摂食して減量し,成長した幼虫は飼料利用が可能であるため,食品廃棄物処理への利用が期待される.本研究ではどのような種類の食品廃棄物が幼虫による処理に適しているかを検討した.野菜・果物・炭水化物・肉・魚の5カテゴリーの食品廃棄物を幼虫に処理させ重量減少や幼虫の成長を比較した.野菜・果物・炭水化物カテゴリーは肉・魚カテゴリーよりも廃棄物重量の減少率や幼虫回収重量・幼虫生存率が高く,幼虫による処理に適していることが示された.5カテゴリーを混合したモデル生ごみはそれらの値がさらに高かったため,家庭から排出される食品廃棄物は幼虫により効率よく処理可能であると考えられた.食品廃棄物に塩分もしくは脂肪分を添加して幼虫処理に対する影響を調べたところ,塩分含有率は1.0%w/w,粗脂肪含有率は5.0%w/wを越えると食品廃棄物の重量減少率が有意に低下した.アメリカミズアブ幼虫は食品廃棄物に含まれる程度の塩分に影響を受けないが,脂肪分の含有率に関しては注意が必要であると考えられた.本研究は環境省の環境研究総合推進費(1-1604)により実施された.また,試験供試虫のうちつくば市の野外集団由来の幼虫は(国研)国際農林水産業研究センターの中村 達主任研究員から提供頂いた.