著者
中村 嘉之 藤野 幸宏
出版者
埼玉県農林総合研究センター
雑誌
埼玉県農林総合研究センター研究報告 (ISSN:13467778)
巻号頁・発行日
no.9, pp.9-16, 2010-03

県内のパン工場から排出される食パンの耳主体のパン残さ(以下パン残さ)を、市販飼料に30%もしくは50%混合し、栄養成分を調整せずに出荷前の2か月間、県内で普及する系統豚ダイ2サキタマ系交雑豚(LWD)に給与することで、背最長筋断面のマーブリングスコアーが1.8から4.2に上昇し、霜降り豚肉の生産が可能である。出来た豚肉のオレイン酸含量は、市販飼料で育てた豚肉と比較して、パン50%混合飼料区の方が3ポイント程度高く、筋肉内脂肪含量も高い。食味試験のアンケート調査において、約8割以上の試食者がパン残さで育てた豚肉の方が、市販飼料で育てた豚肉と比較して、香り、柔らかさ、味について高く評価した。実証試験を1戸の農家において、パン残さを市販飼料に50%混合し同様な条件で行ったところ、筋肉内脂肪含量は実験1と比較して低かったが、マーブリングスコアーは3.2と霜降り豚肉の生産が可能であった。