著者
鷲家 勇紀 西川 友章 藤野 槌美
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.37-44, 2018-02-15 (Released:2018-02-27)
参考文献数
22

市販のコーヒー焙煎豆には,通常エージング処理が施されており,この処理によって,コーヒー抽出液中の多くの香気成分が減少するだけでなく,機能性にも影響することが明らかになってきている.そこで本研究ではマウスにエージング処理時間の異なる焙煎豆の抽出液を投与し,血中尿酸上昇抑制効果を検証した.その結果,エージング処理していないコーヒー焙煎豆抽出液に血中尿酸上昇抑制効果が認められ,処理時間が48時間以内であれば効果が認められることが分かった.また,この血中尿酸上昇抑制効果には,pyrazine類1成分,および硫黄化合物2成分がそれぞれ関与し,何れもエージング処理時間の経過と共に減少する成分であった.さらに作用のメカニズムとして,キサンチンオキシダーゼ活性への影響を検証した.その結果,エージング処理が48時間以内のコーヒー,および有効成分として特定した,エージング処理によって減少する香気成分3成分に,キサンチンオキシダーゼ活性の阻害作用が認められた.以上の結果から,エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆抽出液は,血中尿酸値の上昇抑制効果を有し,エージング処理時間の経過と共にその効果は弱まることが分かった.
著者
鷲家 勇紀 西川 友章 藤野 槌美
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.286-294, 2013-06-15 (Released:2013-07-31)
参考文献数
20
被引用文献数
4

市販のコーヒー焙煎豆は,通常エージング処理が施されている.エージング処理によるコーヒー抽出液中の揮発性成分量の変化を検証した結果,多くの成分に減少が認められた.マウスに,エージング処理時間の異なる焙煎豆の抽出液を投与したところ,エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆に最も高い腸管IgA産生増強効果が認められた.関与する成分は2-methylpyrazine,2,5-dimethylpyrazine,2,6-dimethylpyrazineの3成分であり,何れもエージング処理時間の経過と共に減少する成分であった.以上の結果から,エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆は,腸管IgA産生増強効果を有することが分かった.またエージング処理は焙煎豆中の有効成分の減少を招き,腸管IgA産生増強効果を弱めることが分かった.
著者
鷲家 勇紀 西川 友章 藤野 槌美
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.433-438, 2014-09-15 (Released:2014-10-31)
参考文献数
10
被引用文献数
4

市販のコーヒー焙煎豆は,通常エージング処理が施されている.エージング処理によってコーヒー抽出液中の多くの揮発性成分が減少する.エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆は,血中のIgG,およびIgAの産生増強効果を誘導する.関与する成分は2,5-dimethylpyrazine,2,6-dimethylpyrazineであった.血中IgGの産生増強効果には2-methylpyrazineも関与した.これらの成分は何れもエージング処理時間の経過と共に減少する成分であった.以上の結果から,エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆抽出液は,血中のIgG,およびIgAの産生増強効果を有することが分かった.エージング処理は焙煎豆中の有効成分の減少を招き,血中のIgG,およびIgAの産生増強効果を弱めることが分かった.
著者
鷲家 勇紀 西川 友章 藤野 槌美
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.394-404, 2016-09-15 (Released:2016-11-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1

市販のコーヒー焙煎豆には,通常エージング処理が施されており,この処理によって,コーヒー抽出液中の多くの香気成分が減少するだけでなく,機能性にも影響することが明らかになってきている.そこで本研究ではマウスにエージング処理をしていないコーヒー焙煎豆,または28°C,96時間エージング処理したコーヒー焙煎豆からそれぞれ抽出したコーヒー抽出液投与による抗不安効果を検証した.高架式十字迷路試験における抗不安効果を検証した結果,エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆の抽出液の飲用は不安様行動を有意に減少することが示唆された.この抗不安効果には,硫黄化合物2成分,pyrolle類1成分,およびpyrazine類4成分がそれぞれ関与し,何れもエージング処理によって減少する成分であった.以上の結果から,焙煎直後のコーヒー焙煎豆の抽出液に認められた高い抗不安効果は,焙煎豆のエージング処理によって消失することが分かった.さらに,エージング処理していないコーヒーの抗不安作用に関するメディエーターを検証した結果,GABAA受容体,ドーパミンD1受容体の関与が示唆された.