著者
蝦名 克美 小幡 玲子 磯村 洋 廉澤 剛
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医皮膚科臨床 (ISSN:13418017)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.9-13, 1998-03-20 (Released:2008-05-16)
参考文献数
10

約7年前に, 猫においてワクチン接種が原因として発生する線維肉腫についてレポートされ, この線維肉腫はワクチン接種後肉腫といわれた。この腫瘍は狂犬病ウイルスワクチン接種部及び猫白血病ウイルスワクチン接種部に発生するが, それだけではなく猫3種混合ワクチン接種部にも発生する。ワクチン接種後肉腫の好発部位は頸背部及び肩甲間であり, そしてこの部分は一般的にワクチンを接種する部分でもある。猫線維肉腫は皮膚及び皮下に発生する一般的な肉腫である。しかし, ワクチン接種部外に生ずる線維肉腫の場合, その発生部はほとんどが指趾及び頭部である。本症例はワクチン接種を行った肩甲間の皮下及び筋肉部分に発生した肉腫であり, 本レポートは3種混合ワクチン接種後に発生したワクチン接種後肉腫の本邦初のレポートである。