著者
蟹江 章
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.95-104, 2007-01-25

カネボウやライブドアなどの粉飾が相次いで明らかになり,財務諸表監査に対する不信感が高まっている。公認会計士・監査審査会による検査の結果,わが国の大手監査法人における監査の品質管理に重大な問題点があることが指摘されている。そして,これに基づいて,金融庁から監査法人に対して業務改善指示が出される事態となっている。 こうした監査不信を増大させるような状況を改善するために,日本公認会計士協会や金融審議会などが様々な角度からの対応策を発表したり検討したりしている。例えば,監査法人の強制的ローテーションや監査法人に対する刑事罰の適用などがあげられる。本稿では,こうした対応策が,監査に対する信頼回復にどの程度の有効性をもつか,そしてまた,より有効な対策となるために何が必要かを批判的に検討した。