著者
平田 武弘 表 友宏
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, 1977-12-15

大阪市交通局が, 都島〜守口間6.4kmに建設中の地下鉄2号線のうち, 旧淀川河床タイ積とみられる地下水の豊富な砂レキ層に, 直径7mのシールドを掘進した今市工区での工事報告である。土カブリは約10m, 地下水の滞水は, シールドの天端から上部4mに存在する厚さ2mの連続したシルト層によって, 2層に分けられる。シールドの通過する滞水砂レキ層の透水係数は2.5×10^<-1>cm/secと大きい。工事は, 滞水砂レキ層部分の施工長さ360mの両側に粘土モルタルによる止水壁をつくり, 坑内圧縮空気の漏気と周辺地盤からの地下水の流入を防ぎ, 止水壁内部においては揚水によって砂レキ層の地下水位を低下させる漏気防止圧気工法によって行なわれた。切羽の安定を確保するために, 薬液注入工法も実施している。これらの掘進方法によれば, 坑内空気圧を0.35〜0.40kg/cm^2に維持するために必要な逆風空気量は, 最大80m^3/min, 工事中の止水壁内外での地下水頭の差は約1mで, 止水壁は, 地下水処理や圧気効果を高めるうえで有効であったとしている。