著者
稲浪 正充 西 信高 小椋 たみ子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.33-41, 1980-12-30 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
4 3

障害児の発達には、両親の心的態度を理解し、両親に対し受容的、支持的に働きかけることがきわめて大切である。ここでは、Holroydの開発した15尺度に分けられた206項目の質問紙を用いて、自閉症児、精神薄弱児、肢体不自由児、視覚障害児の母親の心的態度の検討を行なった。自閉症児の母親では、15尺度のうちの6尺度:すなわち、自己の心身不健康、障害児に時間のかかりすぎること、拒否的であること、過保護であること、障害児の活動性の欠如、障害児の人格上の問題で、肢体不自由児の母親では、家庭の経済的困難、障害児の身体能力欠陥の2尺度で、他の3グループの母親に比べ、統計学的に有意に高い心的ストレスを認めた。また、日本とアメリカの自閉症児の母親、精神薄弱児の母親の心的ストレスの比較を行なったが、異文化圏にありながら同一の障害をもつ母親の心的態度は類同的であった。