著者
佐藤 和也 西久保 忠臣
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.11, pp.1514-1520, 1991-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
4

触媒として第四級オニウム塩やクラウンエーテル錯体を用いて種々の環状エ一テルとエステル類との付加反応の検討を行った。この結果,エポキシ化合物と酢酸p-置換フェニルエステル類との付加反応はよく進行し,置換基定数-0.268≦ σ≦+0.227の間でHammett則が成立することが明らかとなったが,エポキシ化合物と酢酸ベンジルや安息香酸メチルとの反応はあまり進行しなかった。また,エポキシ化合物とチオ酢酸S-ベンジルおよびチオ酢酸S-ドデシルとの付加反応はチオ酢酸S-フェニルの場合と同様に温和な条件下でも定量的に進行することが判明した。さらに,触媒としてクラウンエーテル錯体や第四級ホスホニウム塩を用いるとオキセタン化合物とチオ酢酸S-フェニルとの付加反応もよく進行することも明らかとなった。
著者
西久保 忠臣 杉本 頼厚 佐藤 和也
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.11, pp.1506-1513, 1991-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
21
被引用文献数
2

種々の溶媒中でフェニルグリシジルエーテル(PGE)とチオ酢酸S-フェニル(PTA)との付加反応について検討を行った。その結果,この付加反応はトルエン中で無触媒条件下ではまったく進行しなかったが,DMF中では無触媒条件下でも進行した。また,この付加反応の触媒として種々のアルカリ金属化合物や金属塩化物が有効であることが見いだされた。これらの化合物のうち,特にKOCN,KF,CoCl2,カリウムフェノレート,酢酸カリウムなどが高い触媒活性を示した。またクラウンエーテルとアルカリ金属塩の錯体は高い触媒活性を示し,これを用いるとトルエンなどの非極性溶媒中でも反応はよく進行した。以上の結果から,エポキシ化合物と活性エステルとの付加反応においては反応溶媒および触媒の選択と,その組み合わせが重要であることが明らかとなった。
著者
猪俣 克巳 西久保 忠臣
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.7, pp.764-769, 1990-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

第四アンモニウム塩構造を有するジシンナマート類(3a~f)は,2,2'-(メチルイミノ)ジエタノールとシンナムクロリドにより得られたN-メチルビス[2-(シンナモイルオキシ)エチル]アミンと種々のアルキルブロミドとの反応により合成した。合成したこれらのジシンナマート類の光化学反応を水溶液中および有機溶媒中で行い,その光反応性や分子内の置換基の効果についても比較検討を行った。さらに,313nm光による二量化反応および254nm光による開裂反応も一部検討を行った。この結果.第四アンモニウム塩構造を有するジシンナマートの光反応(付加環化反応)は二次反応で進行し,さらに長時間光照射することにより定量的に進行することが判明した。また,これらのジシンナマート類は,対応する疎水性の1,5-ペソタンジオールジシンナマート(PDC)よりも高い光反応性を示し,その反応性は溶媒の種類に大きく依存し,水がもっとも優れた反応溶媒であることも判明した。