- 著者
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任 智美
梅本 匡則
前田 英美
西井 智子
阪上 雅史
- 出版者
- 日本口腔・咽頭科学会
- 雑誌
- 口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.1, pp.31-35, 2017-03-31 (Released:2017-05-31)
- 参考文献数
- 10
- 被引用文献数
-
3
味覚異常の症状は「味覚低下」や「消失」,「解離性味覚障害」のような量的味覚異常と「自発性異常味覚」や「異味症」などの質的味覚異常に分類される. 障害部位としては受容器障害, 末梢神経障害, 中枢性障害, 心因性に分けられ, 受容器障害の病態としては亜鉛欠乏による味細胞のターンオーバー遅延が一般的である. 電気味覚検査や濾紙ディスク法で定量的, 定性的な味覚機能評価を行い, 病態を把握したうえで味覚障害と診断される. 現在では亜鉛内服療法のみがエビデンスをもつ治療であるが, 漢方の有効性も報告されており, 著効する例も経験する. 味覚異常は時に消化器疾患, 血液疾患, 皮膚疾患, 精神疾患, 神経疾患などが背景に存在する場合もあり, 味覚異常を局所的な疾患として捉えるのではなく, 全身を把握しておく必要があるものと考える.